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ここで待ってるから。
第4章 本当の気持ち。
手をつなぎ、夜道をゆっくり歩く。
夏の横顔を見る。
少しだけ、微笑んでいる。
あれ?昔、こんなことなかった?
「ねえ、夏君。前にこんな事、なかったっけ?」
「俺が七歳、橙子さんは十三歳だったかな…地元の夏祭り、覚えてない?」
生まれ育った故郷は、山の中のど田舎。自然に囲まれ、沢山の親戚に囲まれて育った。
私の母と夏の母は五人兄弟で、祖父母、おじおば、他のイトコ達と毎日を過ごした。
私も夏も一人っ子だったけど、寂しくはなかった。
地元の夏祭りは盛大で花火も上がり、テキ屋もそれなりに出ていた。
歳は離れていたけど、姉と弟みたい仲が良く、一緒によく遊んだり、出かけたり。
あの祭りの時、神社までの暗闇の中、草履の鼻緒が切れて中々直らなくて…私、泣いて動かなくなったんだ。 そうだ。その時だ。
夏君はまだ七歳なのに、ハンカチで鼻緒を作ってくれて、泣いてる私の手を引いて歩いてくれた。
「…橙子さん。図工は壮絶な位できなかったもんね。で、泣き虫で。小さくて。」
クスクス笑い、歩みを止める。
私に向き直り、優しく微笑む。
「…それから、大学に行くのに家を出てしまって。年に一回、正月くらいしか会えなくなった。」
つないだ手が解け、今度は指が絡む。
「俺はいつも、橙子さんの背中ばかり追っかけていた。」
長い指が私を絡め取る。
「…今は、橙子さんの背も追い越した。やっとここまで、来れるようになった。…でも、橙子さんは他の男のモノになってた。」
まともに、夏を見れず言葉に詰まる。
「ねえ、知ってた?俺の初恋、橙子さんなんだよ?」
「…嘘。」
「本当。」
絡む指に力が入る。
「いつだって…今だって、橙子さんの事が…。」
それ以上、言葉を続けないでほしい。
今、そんな言葉を聞いたら…。
「橙子さん。」
夏を見ると、困った顔をして私を抱きしめる。
本当に背が伸びた。
私なんか、腕の中にすっぽり収まってしまう。
いつも私の前を歩いてくれていた。
「…今、幸せ?」
涙が溢れる。
もし、それに答えてしまったら全てが壊れてしまいそうで怖い。
夏の横顔を見る。
少しだけ、微笑んでいる。
あれ?昔、こんなことなかった?
「ねえ、夏君。前にこんな事、なかったっけ?」
「俺が七歳、橙子さんは十三歳だったかな…地元の夏祭り、覚えてない?」
生まれ育った故郷は、山の中のど田舎。自然に囲まれ、沢山の親戚に囲まれて育った。
私の母と夏の母は五人兄弟で、祖父母、おじおば、他のイトコ達と毎日を過ごした。
私も夏も一人っ子だったけど、寂しくはなかった。
地元の夏祭りは盛大で花火も上がり、テキ屋もそれなりに出ていた。
歳は離れていたけど、姉と弟みたい仲が良く、一緒によく遊んだり、出かけたり。
あの祭りの時、神社までの暗闇の中、草履の鼻緒が切れて中々直らなくて…私、泣いて動かなくなったんだ。 そうだ。その時だ。
夏君はまだ七歳なのに、ハンカチで鼻緒を作ってくれて、泣いてる私の手を引いて歩いてくれた。
「…橙子さん。図工は壮絶な位できなかったもんね。で、泣き虫で。小さくて。」
クスクス笑い、歩みを止める。
私に向き直り、優しく微笑む。
「…それから、大学に行くのに家を出てしまって。年に一回、正月くらいしか会えなくなった。」
つないだ手が解け、今度は指が絡む。
「俺はいつも、橙子さんの背中ばかり追っかけていた。」
長い指が私を絡め取る。
「…今は、橙子さんの背も追い越した。やっとここまで、来れるようになった。…でも、橙子さんは他の男のモノになってた。」
まともに、夏を見れず言葉に詰まる。
「ねえ、知ってた?俺の初恋、橙子さんなんだよ?」
「…嘘。」
「本当。」
絡む指に力が入る。
「いつだって…今だって、橙子さんの事が…。」
それ以上、言葉を続けないでほしい。
今、そんな言葉を聞いたら…。
「橙子さん。」
夏を見ると、困った顔をして私を抱きしめる。
本当に背が伸びた。
私なんか、腕の中にすっぽり収まってしまう。
いつも私の前を歩いてくれていた。
「…今、幸せ?」
涙が溢れる。
もし、それに答えてしまったら全てが壊れてしまいそうで怖い。