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ここで待ってるから。
第4章 本当の気持ち。

〈涼介の領分〉


「…涼介、涼介ったら。」

 名前を呼ばれ、組み敷いている女を見る。出張先のセフレの一人。

「何考え事してるの?仕事の事?女の事?」

「あゆみ、お前の事だよ。」

 脚を押し広げ、腰を動かす。たいして面白味の無いセックス。機械的に動き、無感情のまま愛を交わす。

 それに比べたら、橙子との情事は何て気持ち良いんだろうか。
 身体の相性もあるのか、あそこまで抱き飽きない女はいない。
 身体に触れれば歓喜の声を上げ、その身体に肉棒を埋め込めば啼きよがる。その姿を思い返すだけで、胸が震える。

 最初の印象は、小さな細い女だった。
 飲み会の席で結構な量の酒を飲み、ふらつきながら帰って行くのを見逃せず、手を差し伸べると笑いながら言った。

『私なんか構ってたら時間の無駄ですよ。つまらない女だし、面白くないですから。』

 こんな変な事を言うなんて思わなかった。
 言いよる女は、だいたいが媚びて、色気を出す。
 橙子は違った。
 好きなものは好き。嫌いなものは嫌い。フワフワつかみどころが無い様に見えて、芯がしっかりとある。

『俺と付き合わないか?』

 取り敢えず、橙子を見てみたかった。
 毎日、何を考え何を思うか。…以外と単純で素直な女だった。

 初めて身体を合わせた時に気がついた。
 今までに無い感情が湧いていた…『愛おしい』という感情。

 自分の腕の中で喘ぐ声と姿に。
 身体の中に入れば、温かい快楽の波に揺られ。
 橙子を自分の物だけにしたい、支配欲。


『波村橙子…はどうかな?よく見ると、美人だよな?』

 同じチームのメンバーが合コンのメンツを探していて、橙子の名前があがった。
 以外と自分が動揺しているのがわかった。

 従兄弟との同居。

 これも、今までに無い感情が湧いてくる。それは、嫉妬。

 従兄弟とは言え、相手は男。
 先日、出かける為に車で迎えに行くと、あの男が挨拶をしてきた。従兄弟だと紹介されたが、唇の端に薄っすらと橙子と同じ色の口紅が付いていた。
 何を意味してるかなんて、明らかに分かる。

 鎖で雁字搦めにして、密室に閉じ込めしまおうか。

 
「り、涼介。い、痛い…。」

 あゆみの腰をつかみ、突き上げる。
 自分の中に知ってしまった感情を消すように…激しく打ち付け、壊すように…。


 





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