この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ここで待ってるから。
第28章 ここで待ってるから。①
「…わかってるなら、いいの。」

 沙矢子は私の空になったお猪口にお酒を注ぐ。

「深山さんと別れていこと君を選んだ時、やっと橙子らしい恋愛をしてるんだなって思った。嬉しかったよ。」

 夏を追いかけて、それがどんな結果であったとしても。

 今まで、それが怖くて。自分が傷つく事が怖くて、追ってすがる事をしなかった。

 でも、今は違う。

 もし、傷ついたら私が私を甘やかしてあげよう。私が私を慰めて、大切にしてあげればいいんだから。

「…橙子が辛い思いをしていたら、私が慰めてあげるから。」

 沙矢子はニッコリ笑う。

「…ありがとう、沙矢子。」

 それから、三時間かけて愚痴大会が始まった。

 いつだって、それでお互い人生を楽しんで生きている。きっと、これからも。






『あ、橙子?あなた、今度のお休みに家に帰ってきなさい。』

 ある日、唐突に母親から帰宅命令がくる。

『は?何で?』

『夏君も東京で自立出来たでしょ?今度は、順番に子供達を片付けて行かないと。』

『ん?片付ける?』

『そう、そう。こっちに来て、お見合いしてほしいのよ。』

 思わず、携帯を落としそうになる。

『お見合い?』

『そうなのよ。なんだか、お父さんの知り合いの息子さんなんだけど。なかなか、話が断れない状況でね。会うだけ会って欲しいのよ。』

『…はぁ。』

 お見合い…かぁ。

 夏が出ていってから三週間。

 消息不明に連絡する術がない。

『お見合いしてから、断ってくれてもいいってその息子さんも言ってくれてるから。お願いよ。』

『…写真は?』

『もう、送るよりか帰って来た時に見せるわよ。』

 もう、決行するつもりじゃないの。

『…わかった。あ、ねぇお母さん。』

『何?』

 夏の様子を聞こうと思ったけど、夏が私と連絡とりたくないなら仕方のかな。

『ううん、なんでもない。お見合いの事はちょっと、考えさせて…と言ってもしなきゃいけない状況なのね?』

『そうね。まぁ、よろしくね。』

 まぁ、あっさり電話を切ってくれたわね。

 義理のお見合いなら、適当に両親に付き合えばいいか。

 フッ、と携帯のアドレスから夏を探す。

 何度かけても出ない番号。

 何度送っても返信は来ないメール。

 なんか、必死なアラサーね。ねえ、夏。私、お見合いしちゃうよ?
/205ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ