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ここで待ってるから。
第28章 ここで待ってるから。①
「…わかってるなら、いいの。」
沙矢子は私の空になったお猪口にお酒を注ぐ。
「深山さんと別れていこと君を選んだ時、やっと橙子らしい恋愛をしてるんだなって思った。嬉しかったよ。」
夏を追いかけて、それがどんな結果であったとしても。
今まで、それが怖くて。自分が傷つく事が怖くて、追ってすがる事をしなかった。
でも、今は違う。
もし、傷ついたら私が私を甘やかしてあげよう。私が私を慰めて、大切にしてあげればいいんだから。
「…橙子が辛い思いをしていたら、私が慰めてあげるから。」
沙矢子はニッコリ笑う。
「…ありがとう、沙矢子。」
それから、三時間かけて愚痴大会が始まった。
いつだって、それでお互い人生を楽しんで生きている。きっと、これからも。
『あ、橙子?あなた、今度のお休みに家に帰ってきなさい。』
ある日、唐突に母親から帰宅命令がくる。
『は?何で?』
『夏君も東京で自立出来たでしょ?今度は、順番に子供達を片付けて行かないと。』
『ん?片付ける?』
『そう、そう。こっちに来て、お見合いしてほしいのよ。』
思わず、携帯を落としそうになる。
『お見合い?』
『そうなのよ。なんだか、お父さんの知り合いの息子さんなんだけど。なかなか、話が断れない状況でね。会うだけ会って欲しいのよ。』
『…はぁ。』
お見合い…かぁ。
夏が出ていってから三週間。
消息不明に連絡する術がない。
『お見合いしてから、断ってくれてもいいってその息子さんも言ってくれてるから。お願いよ。』
『…写真は?』
『もう、送るよりか帰って来た時に見せるわよ。』
もう、決行するつもりじゃないの。
『…わかった。あ、ねぇお母さん。』
『何?』
夏の様子を聞こうと思ったけど、夏が私と連絡とりたくないなら仕方のかな。
『ううん、なんでもない。お見合いの事はちょっと、考えさせて…と言ってもしなきゃいけない状況なのね?』
『そうね。まぁ、よろしくね。』
まぁ、あっさり電話を切ってくれたわね。
義理のお見合いなら、適当に両親に付き合えばいいか。
フッ、と携帯のアドレスから夏を探す。
何度かけても出ない番号。
何度送っても返信は来ないメール。
なんか、必死なアラサーね。ねえ、夏。私、お見合いしちゃうよ?
沙矢子は私の空になったお猪口にお酒を注ぐ。
「深山さんと別れていこと君を選んだ時、やっと橙子らしい恋愛をしてるんだなって思った。嬉しかったよ。」
夏を追いかけて、それがどんな結果であったとしても。
今まで、それが怖くて。自分が傷つく事が怖くて、追ってすがる事をしなかった。
でも、今は違う。
もし、傷ついたら私が私を甘やかしてあげよう。私が私を慰めて、大切にしてあげればいいんだから。
「…橙子が辛い思いをしていたら、私が慰めてあげるから。」
沙矢子はニッコリ笑う。
「…ありがとう、沙矢子。」
それから、三時間かけて愚痴大会が始まった。
いつだって、それでお互い人生を楽しんで生きている。きっと、これからも。
『あ、橙子?あなた、今度のお休みに家に帰ってきなさい。』
ある日、唐突に母親から帰宅命令がくる。
『は?何で?』
『夏君も東京で自立出来たでしょ?今度は、順番に子供達を片付けて行かないと。』
『ん?片付ける?』
『そう、そう。こっちに来て、お見合いしてほしいのよ。』
思わず、携帯を落としそうになる。
『お見合い?』
『そうなのよ。なんだか、お父さんの知り合いの息子さんなんだけど。なかなか、話が断れない状況でね。会うだけ会って欲しいのよ。』
『…はぁ。』
お見合い…かぁ。
夏が出ていってから三週間。
消息不明に連絡する術がない。
『お見合いしてから、断ってくれてもいいってその息子さんも言ってくれてるから。お願いよ。』
『…写真は?』
『もう、送るよりか帰って来た時に見せるわよ。』
もう、決行するつもりじゃないの。
『…わかった。あ、ねぇお母さん。』
『何?』
夏の様子を聞こうと思ったけど、夏が私と連絡とりたくないなら仕方のかな。
『ううん、なんでもない。お見合いの事はちょっと、考えさせて…と言ってもしなきゃいけない状況なのね?』
『そうね。まぁ、よろしくね。』
まぁ、あっさり電話を切ってくれたわね。
義理のお見合いなら、適当に両親に付き合えばいいか。
フッ、と携帯のアドレスから夏を探す。
何度かけても出ない番号。
何度送っても返信は来ないメール。
なんか、必死なアラサーね。ねえ、夏。私、お見合いしちゃうよ?