この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ここで待ってるから。
第28章 ここで待ってるから。①
朝はゆっくり起き、母親の作る朝食を食べる。
しばらくすると、親戚達が私の帰省を歓迎しに顔を出す。
「まぁ、橙子ちゃんも年頃だからね。何でも経験だよね。」
「こっちに嫁に戻って来たらさ、米や野菜には困らないよ。」
「きっと、相手はあんたを気に入ってくれるよ。絶対に。」
まぁ、無責任な発言が飛び交う。
私はこの田舎を抜け出したかったのは、みんなと同じようには生きられないと思っていたから。どこか、この故郷の世界にははまることが出来ない、異端なピースだと昔から思っていた。
仲良くはしていたけど、どこかいとこ達には一線を引いていた気がする。
それは、夏もおなじだったんだろう。
いつも、側にいた夏。
時々、胸が痛むのは夏への愛情。
家から持ってきた、柔らかい生地のワンピース。ベージュのヒールと白いバッグを合わせる。
髪型も派手に盛らず、清楚に纏め上げる。
駅前の指定された店は車で一時間位かかる。
母親の車で立派な料亭に到着する。
「受付で名前を言えばわかるみたいだから。終わったら連絡ちょうだいね。」
車から降り、中に入る。
大きな門をくぐり、古風だが近代的な照明や内装がとても素敵な空間を演出している。
受付に向かい、和装の女性の店員に名前を告げる。
「波村様ですね。今、案内の者が参りますのでそちらでお待ち下さい。」
壁に沿って置いてあるソファに腰をかける。
携帯を取りだし、画面をみつめる。
着信もメールもない。
一度だけ。最後に一度だけ、夏にメールをする。
もう、これで最後にしよう。
お互い、新しい未来に進む為に。
こんな選択肢もあったんだと、笑いながら思える未来の為に。
きっと、夏はとっくに私を追い越して新しい未来に進んでいるんでしょうね。
「波村さま。お仕度が整いました。こちらへどうぞ。」
ここの、支配人らしき人の後を着いていくと和室の部屋に通される。
中に入ると、大きな座卓が部屋の中心に置かれている。
「さ、どうぞ。今、お茶をお持ちします。」
厚みのある座布団に促され、座る。
相手はまだ来てないみたいね。
しばらくすると、支配人が戻る。
「波村様。お客様がいらっしゃいました。」
ふっ、と部屋に入ってくる人物に目を向ける。
「…あっ。」
しばらくすると、親戚達が私の帰省を歓迎しに顔を出す。
「まぁ、橙子ちゃんも年頃だからね。何でも経験だよね。」
「こっちに嫁に戻って来たらさ、米や野菜には困らないよ。」
「きっと、相手はあんたを気に入ってくれるよ。絶対に。」
まぁ、無責任な発言が飛び交う。
私はこの田舎を抜け出したかったのは、みんなと同じようには生きられないと思っていたから。どこか、この故郷の世界にははまることが出来ない、異端なピースだと昔から思っていた。
仲良くはしていたけど、どこかいとこ達には一線を引いていた気がする。
それは、夏もおなじだったんだろう。
いつも、側にいた夏。
時々、胸が痛むのは夏への愛情。
家から持ってきた、柔らかい生地のワンピース。ベージュのヒールと白いバッグを合わせる。
髪型も派手に盛らず、清楚に纏め上げる。
駅前の指定された店は車で一時間位かかる。
母親の車で立派な料亭に到着する。
「受付で名前を言えばわかるみたいだから。終わったら連絡ちょうだいね。」
車から降り、中に入る。
大きな門をくぐり、古風だが近代的な照明や内装がとても素敵な空間を演出している。
受付に向かい、和装の女性の店員に名前を告げる。
「波村様ですね。今、案内の者が参りますのでそちらでお待ち下さい。」
壁に沿って置いてあるソファに腰をかける。
携帯を取りだし、画面をみつめる。
着信もメールもない。
一度だけ。最後に一度だけ、夏にメールをする。
もう、これで最後にしよう。
お互い、新しい未来に進む為に。
こんな選択肢もあったんだと、笑いながら思える未来の為に。
きっと、夏はとっくに私を追い越して新しい未来に進んでいるんでしょうね。
「波村さま。お仕度が整いました。こちらへどうぞ。」
ここの、支配人らしき人の後を着いていくと和室の部屋に通される。
中に入ると、大きな座卓が部屋の中心に置かれている。
「さ、どうぞ。今、お茶をお持ちします。」
厚みのある座布団に促され、座る。
相手はまだ来てないみたいね。
しばらくすると、支配人が戻る。
「波村様。お客様がいらっしゃいました。」
ふっ、と部屋に入ってくる人物に目を向ける。
「…あっ。」