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ここで待ってるから。
第1章 年下従兄弟。
 駅近くの居酒屋に入り、生ビールと適当な料理を注文する。

「ねえ、橙子さんは恋人いるの?」

「うん?いるよ。」

「そっか。じゃあ、マンション呼ぶ時は言ってね。終わるまで外で待ってるから。」

 終わるまで…って。
 思わず吹き出してしまった。

「終わるまでって。笑わせないで。」

「いや、本当に。仕事が軌道に乗ったらちゃんと自立するし。迷惑はかけないようにするね。」

 生ビールが届き、乾杯する。

「でも、あの高校生だった夏君とこうやってお酒を飲めるようになるなんて…。おばちゃん、感動。」

「あははは。おばちゃんって。橙子さん二十八歳でしょ?」

 夏が笑う。
 
「でも、そっか。恋人いるんだ。」

「ん?夏君は?」

「今はいない。去年別れた。」

「へぇ。夏君、結構モテるでしょ?かっこいいもん。」

「そうでもないよ。去年付き合ってた子で二人目だったし。なんだろ…多分、年下とか同年代無理みたい。」

 ビールを飲み干し、追加オーダーする。
 つまみの枝豆をちまちま食べる。

「あと、多分…わからないけど、エッチが下手なのかも。」

 思わず、夏を見る。
 夏は少し苦笑いして、俯向く。

「ねえ、橙子さん。俺とエッチしてくれない?」

 はい?
 いや、いや。ちょっと、それはどうかと思うよ?
 い、従兄弟だし。
 年下だし。

「いや、あの、それは無理でしょ?流石に。」

 夏は顔を上げて、申し訳なさそうにする。
 
「だよね。」

 残念そうな顔も、イケメンなら様になる。
 でも、少し最近恋人ともご無沙汰もあり、小さな欲望が身体の奥に沸き起こる。

 手を伸ばし、夏の頬に手を当てる。
 お酒に酔った勢いもあるし、どこか期待もある。
 後ろめたさより、自分の性欲に素直になる。

「いいよ。しても。」

 夏は目を見開き、静かに微笑みむ。

「いいんだ?」

「でも、愛とか恋とかの恋愛事は面倒だし、従兄弟だから将来的な事は無しで素直に身体の関係ね。」
 
 これは恋人への当てつけ。
 向こうだって、色んな女とやってるだろうし。
 私だけ我慢する理由もないし。

「彼氏に悪いね。」

「別に…。どうせ、あっちだってセフレ位いるから。」








 
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