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ここで待ってるから。
第6章 未来の迷図。
「…橙子、橙子。」

 名前を呼ばれる。
 
「ん…。誰?」

「誰、じゃない。…橙子、あの従兄弟とのセックスは良かったか?」

 ハッとして、目を開ける。
 目の前に涼介の顔がある。

「…どれだけ、キスマークつけられてるかわかってるのか?」

 気がつけば、私は全裸にされベッドの上に寝転がされている。そこに、やはり全裸の涼介が覆っている。

「は?えっ?何?」

 涼介はニヤニヤしながら、私の身体を指でなぞる。肩と乳房の上、横に。

「この三箇所、キスマーク付いている。」

 急に恥ずかしくなり、横にあった肌掛けを引き寄せ頭から被る。…完全に夏と寝たのがバレた。私、最低。
 すると、涼介は私を抱きしめて囁く。

「俺に会えなくて身体が疼いたか?」

 そっと、肌掛けを外され伏せた顔を無理やり涼介の方に向かされる。
 まともに視線を合わす事が出来ない。
 後ろめたさと、裏切りの行為に。

 涼介の顔が近づき、静かにキスをする。

 お互いの隙間を埋めるように、求め唇を貪り食む。吸い付き甘噛みをして、薄っすらあいた私の中に涼介の舌が入り込む。

 息が出来ない位、埋め込まれ舌で歯をなぞられ舌を絡める。その柔らかさと、温かさに身体が溶け出す。

 髪を梳き、頭を撫でられ底の無い欲求に荒い息をする。

「…ローターやバイブじゃ慰めにはならないか?」

「!?」

 本当、時々いやらしい言葉を投げかける。
 言葉につまり困った顔をすると、クスクス笑いながら私の頬を撫でる。

「橙子の困った顔は本当に可愛い。」

 顔や耳が赤くなる。

「まったく、俺がどれだけお前に入れ込んでいるかわかってるのか?」

 困った顔をする。

「たとえ、誰に抱かれたって、誰を好きでも構わない。今までで本気で好きになったのは、橙子だけだ。だから、今ムカついている。」

「…嘘。」

「なんで、嘘だと思う?」

「じゃあ、なんで他に女がいるの?」

「…ただ、セックスしてるだけだ。性欲の吐け口。それは相手との利害一致の上にしているだけだ。」

 また、繰り返しの会話に少しムッとする。

「なら、私が夏と寝ようが涼介には関係ないし怒られる理由もないわね。夏とのセックスなんて、ただ暇だったから。欲求不満解消してただけ。」

 …胸が痛い。

 それは、涼介に対してか夏にたいしてなのか。


 
 
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