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ここで待ってるから。
第8章 眺めの良い場所。
「で、喧嘩の原因は何なんだ?」

 守、突っ込まないで欲しいわ。
 夏は涼しい顔をして、シレッと答える。

「橙子さんが俺の分の菓子を取ったから、取り返してただけです。」

 どんだけ、子供なんだか。守もたいして疑わず、私達を笑う。

「小さな頃から仲良かったけど、今も姉弟みたいだな。」

 父と守は沢山採ってきた野菜を台所に運ぶ。いろんな意味で純粋なんだろうな、守は。
 この周辺で住んでいるイトコは、守を筆頭にあと四人。私達、夏含め五人は県外に嫁に行ったり、海外にいたりと離れて暮らしている。
 
「明日の夜は親戚で集まって宴会だな。夏の就職祝いを兼ねてな。」

 父はウキウキしながらそう言って、昼間からワンカップをあける。
 きっと、私の酒好きはこの人の血を色濃く受け継いでるんだろうと再認識する。今日も羽目を外さないように気をつけないと。


 守も一緒にみんなで昼を食べ、披露宴の支度をする。明るめのパープルのドレスに髪をアップにして、バレッタで留める。
 メイクは派手ではなく、あくまで上品に仕上げる。

「流石、化粧品の会社に勤めてるだけあって馬子にも衣装だな、母さん。」

 自分の娘を捕まえて、そんな言い方ないでしょうお父さん。

「次はあんたの花嫁姿が見たいよ。死ぬまでには見れるのかしらねぇ?お父さん。」

 今度はお母さんまで。
 
「近々、見れるかもしれないですよ?おじさん、おばさん。」

 もうね。コントだよね。夏まで何言ってんだか。



「こちらに、ご記入をお願い致します。」

 会場入り口で、名前と住所を記帳する。ざっと見ると、知った名前がチラホラ。ご祝儀を案内の人に渡して、席を探す。

「橙子じゃない?」

 振り向くと、高校時代の友人が声をかけて来てくれた。

「紗千香ちゃん?」

「久しぶりだね。十年振り?いやぁ、橙子綺麗じゃない?ちょっと、祐希に合わせたいからこっち来てよ?」

 引き摺られように新郎控え室に連れて行かれる。
 ちょ、ちょっとまだ、心の準備が…。
 私などお構いなしに部屋に入る。

「祐希!橙子が来たよ?!」

 中には、明るいグレーの燕尾服を着た男性が立っていた。十年前と何一つ変わっていない。優しい笑顔の祐希がいた。

「…橙子。久しぶりだね。来てくれるかわからなかったけど、駄目元で案内だしたんだ。」


 



 
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