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ここで待ってるから。
第8章 眺めの良い場所。
「守兄さんはどう?」

 あかりは近くで飲んでる守を指差す。
 思わず、ビールを吹き出しそうになる。

「えっ?守?」

「イトコでも、結婚できるし。周りでも何人かいるよ?それに、自分の兄の事を言うのも何だけど結構イケメンじゃない?」

 確かに、イケメンだとおもうけど。

「役場でかなり、モテるんだよね。でも、本人女に興味無いし。でも、三十八だよ?そろそろ、身を固めないとね…。」

 女に興味無いって…そりゃ、結婚から遠のくよ普通。 それに、興味ないならこんな話されても迷惑じゃないのかな?

「…ちょっと、昔に色々あって女性と付き合わなくなっちゃったんだよね…。それも、救ってあげたい…。」

 あかりはお腹をさ擦りながら、守を見る。
 守は周りのおじちゃん、おばちゃんに囲まれながら世話を焼いたり、焼かれたり。
 時々、甥っ子たちに振り回されたり。
 そんな風景を見て、守みたいな人と結婚できたら幸せな家庭を持つ事が出来るんだろうな…などと、想像してみる。

「守は結婚しないのか?」

 親戚のおっちゃん達が守に振る。

「みおちゃんも落ち着いたし、次はお前の番だね。守。」

 頭をポリポリ描いて、困った顔をする。
 私は何杯目かのビールを飲み、焼き鳥を食べる。

「…橙子ちゃんはどうなんだい?」

 そこに何故か私の名前が浮上する。思わずビールを吹き出す。

「守と橙子ちゃん、いいんじゃないの?」

 おじさん、おばさんの無責な発言が花を咲かせる。私の父に至ってはもうイビキをかいて寝ている。

「…橙子には彼氏がいるし。」

「彼氏がいたって、結婚は別なんだよ。」

 守のフォローなど、親戚達にかかれば涼風程度。勝手に盛り上がるこの人達に立ち向かえない。
 私も守も困ってしまう。

 そんな中、夏が立ち上がる。

「ふざけんなっ!!橙子さんは、俺と結婚するの!!誰にも渡さない。たとえ、守ちゃんでも。深山さんでも。俺の橙子さんなんだからっ!!」

 顔を真っ赤にして、一升瓶抱え半泣きで叫ぶ。

「俺は橙子さんが大好きだーっ!!」

「おー、やったれやったれ、夏!!」
「あのチビ助の夏が守に喧嘩うったぞ!!」

 無責任な煽りと、笑いの中、私は顔を真っ赤にする。

 …恥ずかしすぎる。あんな大勢の前でやめて欲しい。

「な、夏!!いい加減にしなさい?!」
 

 
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