この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ここで待ってるから。
第9章 嘘と、好きと嫌い
「…それが、成立するかしないかはその時じゃないとわからないな。」

「相手の見た目で決まる?」

 涼介は苦笑いしながら、私の頭を撫でる。

「さぁ?それより、引き止めてはくれないんだな。泣いてすがれば、見合いなんか辞めるのに?」

「…涼介、私。私ね、貴方と距離をとって色々考えたのに。イトコの夏の事と、涼介の事。私には選べなくて…だから、涼介が決めて。このままでいいのか、別れるか。」

 いつか話さなくてはいけなかった言葉。
 ズルイ女のワガママ。

「そうか。俺は橙子が思う様に生きてくれたらそれでいい。それが、幸せなら尚更。簡単に返事は出来ない。俺も橙子にはかなり、入れ込んでいるつもりだ。」

「うん。涼介、ありがとう。」
 
「…今度、ゆっくり話そう。」

 顔が近づき、そっと唇が頬に触れる。
 優しいキスは私の心の隙間を静かに塞ぐ。



 カタカタ。
 トントン。

 キッチンの方からの音で目が覚める。
 少し眠れたのが良かったのか、頭痛は治まっている。腰の重さと腹痛は相変わらず続いている。

 ベッドから起きて時計を見ると、16時を指している。
 午後、しっかり眠れたんだ。

 涼介の姿はいつの間にかに消えていた。

 ゆっくり、キッチンに向かうと夏がいた。

「…夏?仕事は?」

「うわぁ。橙子さん?だ、大丈夫?」

 夏は駆け寄り、私の頭や肩を撫でさする。

「…うん?大丈夫だよ?夏は何でいるの?」

「えっ?あのメールの後、気になって帰ってきた。心配だったから…。そ、そしたら…いや、何でもない。それより身体、大丈夫?」

「大丈夫。まだ、お腹痛いけど。何、作ってるの?」

 コンロにかかっている鍋が沸騰している。
 野菜がまな板の上で刻まれている。

「あ、えっと。身体に良いもの。ソファで横になってて下さい。今、お茶淹れるから。」

「…ありがとう。」

 夏はニコニコしながら、料理を続ける。

 私はソファに横になり、クッションをお腹に当てる。目を閉じて、キッチンの音を聞く。

 少し前までは私一人しかいなくて、静かな部屋がこんなに音に溢れ、賑やかになるなんて思わなかった。
 今少しだけ、心の核心に触れたような気がする。

 夏は自分のコーヒーと私ようにお茶を入れて、リビングに持ってくる。ローテーブルに置き、夏は私の様子をみる。



/205ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ