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ここで待ってるから。
第10章 女の嫉妬。男の我が儘。
「はぁ?お預け状態?何の話し?」
いつもの居酒屋に沙矢子と二人。お互いハイボールに野菜スティックなんぞ噛みついて。
「えっと…。だから、その…。」
個室とは言え隣の壁は薄いし、ひっきりなしに店員は通路を往来してる。私達のペースも早く、オーダーしまくり状態。
そんな中、言葉を選びすぎて紗也子になかなか伝わらない。
「声、小さいなぁ~。ハッキリ言いなさいよ。今更、他人行儀になったりしないでさ。私はあんたの事を心配してんのよ。涼介と別れたり、イトコとよろしくやってたり。」
結局、涼介と話し合う事もなく見合いして結婚する報告をいきなりされ、呆気なく終了。
自分もすんなり別れを受け入れたのは、側に夏がいてくれたから。
なのに。
「だ、だから…。」
「うん、何々。」
「最近…。そういう事がないの。つまり、エッチするのをお預け状態なのよ。」
残り少ないハイボールをあおり、沙矢子の反応を覗き見る。
肩が震えて、完全に笑いに耐えている。
「なっ。沙矢子…。信じらんない。笑いたければ笑えばいいさっ。」
「いやいや。まだ何も言ってないし…。つまり、私は欲求不満の愚痴に付き合わされてるのね?」
沙也子は呼び出しボタンを押し、メニューをヒラヒラと見る。
「そういう訳じゃないんだけど…。」
夏の嫌がる事をして、エッチお預け状態がかれこれ二週間。以前は頻繁に触れてきたりしてくれたのに。
ここまで、何もないと不安になる。
「じゃあ、何なのよ。橙子はどうしたいの?」
「ど、どうしたいのって。…だいたい、同じ部屋に好きな女がいたらヤりたいって思わないのかな?!」
沸々と理不尽な状況に怒りが湧いてくる。
「いい女がバスタオル一枚でウロウロしてみたり、普段着けないような下着姿でソファに寝転がっていたら、欲情しないのかな?」
そう、何回か行動に移したものの、もうすぐ29歳の女が22歳の青年相手にバカな事をしたと自分で引いた。
「うーん。言葉じゃないと伝わらない位、鈍感なんじゃないの?ほら、勇気を出して言ってごらんよ。」
「な、なんて?」
「もう、ストレートにさぁ。ほら、練習練習。」
「練習?!う、うーん。」
マイク替わりに割り箸を差し出される。
確かに、言葉でちゃんと伝えよう…。
「私とエッチして下さい!!」