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ここで待ってるから。
第10章 女の嫉妬。男の我が儘。

 頭痛い…。
 最悪なコンディションで目が覚める。何故か全裸で寝てるし…。

 部屋着に着替え、リビングに向かうとダイニングテーブルに朝食が用意されていた。

「あ。おはようございます!」

 夏の後輩が爽やかに挨拶をする。女の私でさえ可愛いって思ってしまう。

「おはよう。眠れた?寒くなかった?」

「はい。大丈夫です。えっと、東先輩に許可をもらって朝ごはん用意しました。勝手にすみません…。」

「ううん、嬉しい。」

 目玉焼きに白いごはん。二日酔いには染みる、温かい味噌汁。

「あの…。貴女の事、橙子さんて呼んでいいですか?」

「ん?どうぞ。じゃあ、私は胡桃ちゃん…で、いいのかな?」

「はい!嬉しいです。そうだ、えっと、橙子さん。さっき、兄と連絡取れたんですけど…。兄も貴女と話がしたいそうなので、朝食済んだら話してもらっても良いですか?」

「ええ。あ、夏は?」

「さっき、起きてきたんですが二度寝するって部屋に。」

「…そっか。じゃあ、とりあえずご飯いただこうかな。」

 

 食後、コーヒーを淹れてもらいテレビをつける。天気予報は午後からの雨を告げている。

「橙子さん、兄から電話かかってきてかわってほしいって…。」

 食器を洗っていた胡桃ちゃんはタオルで手を拭きながら、濡らさないように携帯を私に渡す。
 携帯を受けとる。

「もしもし。」

『あ、もしもし。遠山胡桃の兄です。』

 優しい声色に緊張がほどけてゆく。

「はじめまして。胡桃ちゃんの知り合いのイトコの波村です。なんか、ややこしいですね。」

『いや、本当にご迷惑おかけして申し訳ありません。本来なら昨日の昼には帰宅する筈だったのですが、仕事のトラブルと今、北海道なんですが飛行機のフライトもトラブルで今日、飛ぶか飛ばないか…。』

「そうですか。こちらは心配しないで大丈夫ですよ。今日明日は土日なので、このままもう一泊させますね。」

『ええっ。それはご迷惑でしょう?もう、二十歳の大人なんですから放り出して下さい。それも人生経験です。』

 いや、いや。流石に二十歳の娘を放り出すなんて私には出来ませんよ、お兄さん。

「いえ。このご時世、何が起こるかわかりません。胡桃ちゃん、可愛いから。」

『…そうですか。それなら、お世話になります。後程、波村さんの連絡先を教えてください。』
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