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ここで待ってるから。
第10章 女の嫉妬。男の我が儘。
 鍋を取り分け、遠山さんに渡す。
 恐縮しながら受けとり、綺麗な仕草で食べはじめる。

「この鍋、美味しいですね。」

「胡桃ちゃんがほとんど用意してくれたんです。お汁も昆布から作ってくれたし、つみれもお手製で。女の私から見ても、素敵な子だと思います。」

「…母親を、早くに亡くし僕と父とで胡桃を育てました。嫁に出しても、母親がいないから何も出来ない子だと思われないように掃除、洗濯、料理は勉強以上にしつけました。」

 空いたグラスにビールを注ぐ。
 なんて、優しい目をするんだろう。

「遠山さんとお父様の教育がよろしかったんですね。初対面でしたが、とても感じが良く泊まることに何の抵抗もありませんでしたから。」

 遠山さんは照れながら、ビールを飲む。

「そう言ってくれる方がいるとは。亡くなった父も喜びます。」

 少しだけ間が空き、遠山さんは目を閉じる。

「大学生になり、変な虫が付かないかが本当、心配です。」



「東センパーイ。なんで、美月先輩と別れちゃったんですかぁ?」

 胡桃ちゃんはグラスを片手に、夏にしなだれかかっている。夏は困り顔で、手元の箸をいじっている。

「えーと。うん、まぁ、いろいろあって…。」

「へー。私、知ってますよ~。」

 ニヤニヤと笑いながら、夏に詰め寄る。
 夏は目を真ん丸にして、顔を赤くする。

「え?な、何を?」

「東先輩のナニがデカすぎて、セックスは無理っ!!」

 夏は顔が赤から青く、変な汗をかきはじめている。

「…と、美月先輩がみんなに言ってましたー。」

 大事に育てた妹からこんな台詞を聞いて、遠山さんは身体が固まっている。

 前にエッチが下手で別れたとか聞いていたけど。そういえば、夏の事何も知らないかも…。私が上京している間の、高校時代や大学時代。私の知らない夏がいる。

「み、みんな。みんなって、誰?」

 夏は胡桃ちゃんの肩をがっちり掴み、不安そうに覗き込む。

「だーかーらー。私達の知り合い全員ですってば。」
 
「まじで?」

「はい。東センパーイ。だから、本当かどうか、私とセックスしてくださーい!!」

 胡桃ちゃんは夏に抱きつき、押し倒す。
 
「うわぁ。な、胡桃ちゃん?!」

 そのまま、馬乗りになり夏のシャツをたくしあげる。
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