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ここで待ってるから。
第11章 君が好き。
 目の前に明太クリームパスタとサラダが並ぶ。沙矢子の前には、トマトバジルソースのペンネとバケット。久々に近くの喫茶店にランチに来ている。

 ビルに囲まれ、 ひっそりとした喫茶店だかとてもランチが安くて美味しい。

 さて、食べようとした時携帯が鳴る。

「先に食べてるよー。」

 沙矢子はさっさと食べはじめる。

 携帯を持ち、店の外に出て通話する。

「もしもし。」

『あ、波村さんですか?僕です。遠山です。』

「こんにちは。」

『あの、今から会えませんか?』

「えっと…。今、お店で食事中なんですが。」

『今からそのお店に行きます。じつわ、波村さんの会社の近くに来てるんです。お店の名前教えていただけたら、調べて直ぐに行きます。』

 店の名前と、住所を告げ料理の用意された席につく。
 
「誰から?」

 沙矢子はじっと、私をみつめる。
 嘘や誤魔化しはこの人には通じない。先週の出来事をかいつまんで話す。

「ふーん。」

 それから十数分後、息を切らしなが遠山さんが入ってくる。私は立ち上がり、沙矢子と遠山さんを紹介する。

「お昼、まだなら一緒にどうですか?」

「いいんですか?うん、そうさせてもらおうかな。午後も直ぐにクライアントと打ち合わせがあるし。」

 席に着き、メニューを開いてオーダーする。
 三人で他愛もない話をし、フッと遠山さんの手荷物を見る。
 白いビニール袋に、植木が入っていた。

「先程から良い香りがすると思ったら、ジャスミンの花ですね。胡桃ちゃんへお土産ですか?」

「あ、いえ。違います。これは、波村さんへプレゼントです。」

 そっとテーブルに置く。

「知り合いの花屋で見かけ、おもわず買ってしまいました。でも、良く考えたら、胡桃も来週には大学に戻るし、家で世話をする人間もいないし。」

「え、でも。プレゼントなんて。申し訳ありません。」

「先日のお礼を兼ねて…。」

 暫くすると、遠山さんのオーダーしたサンドイッチとコーヒーが来る。

「橙子、先に帰ってるわね。遠山さん、ごゆっくり。」

 沙矢子は席を立ち、レジに向かう。
 私はジャスミンを受けとり、そっと香りをかぐ。

「ジャスミンの花言葉を聞いて、これは貴女だと思いました。」

「どんな、花言葉ですか?」

 遠山さんは私に近づき、耳元で囁く。

「…官能的。と。」
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