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ここで待ってるから。
第2章 恋人かセフレか。
 きっと、どうせまた何処かのラブホでも入るつもりでしょう。

 少し白けて、窓の外を眺める。
 周りは山に囲まれ、緑に少しの紅葉がみられる。
 高速を降り、しばらく道なりに森の中の道を走る。

「お腹すいたろう?この先に、フレンチの店がある。そこに予約入れてあるから。」

 時計を見ると一時過ぎている。
 キラキラと木漏れ日が車の中を、賑やかにする。


「深山様、お待ちしておりました。」

 店の支配人が私達を迎える。

 白いお城みたいなお店で、中に入るとホテルみたいなロビーがある。ふかふかの絨毯に少し足をとられる。 すると、涼介が私の腰にそっと手を添える。
 
「あ、ありがとう。」

「ここは、個室のフレンチレストランで宿泊もできる。ま、俺達は明日から仕事だから食事だけだけど。」

 支配人の後をついて行く。
 
「当店は一日、十組のお客様の予約しか受けておりません。本日、今の時間は深山様のみご来店となっております。お食事の後は、当店自慢の庭園を散策したり、お部屋でゆっくりお過ごし下さい。」

 部屋に案内され、驚く。
 広い部屋にアンティークの調度品。豪華なソファにレースのカーテン。
 庭に直接出ることが出来、花壇には秋のバラ達が咲き誇っている。

「素敵。」

 支配人が部屋から出て行く。
 


 前菜から始まり、スープはもちろんメインの地元の牛肉はとても美味しく満足のいく内容だった。

「涼介、美味しかった。ご馳走様。」

 二人コーヒーを飲みながら、窓から入る秋の風を感じる。

「…少し、怒ってるんだけど。」

 涼介がそんな事を言い出し、車の中の会話や食事中の態度を思い返す。

「…従兄弟。話し聞いてなかったし…それに。」

 涼介は席を立ち、私を抱き抱える。
 バランスを崩しそうになり、涼介の首に腕を巻きつける。涼介の目を見つめると、そこには小さな欲望の炎がチラついている。
 
「…あの従兄弟の唇の端に、橙子と同じ口紅が少し付いていた。なんでだ?」

 顔が一瞬で赤くなる。
 伊達に化粧品の企画部にいる訳じゃない。

 ばつが悪そうに、顔を背ける。

「お仕置きが必要かな?橙子。」

 




 
 



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