この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ここで待ってるから。
第13章 《沙矢子さんと総一朗君。》月まであと一歩
リリン。
扉を開けると、ドアに仕掛けてあったベル鳴る。
中は外装とは違い、近代的なカウンターに待ち合い室。
「はい、どうされました?」
診察室の扉が開き、一人の男性が出てきた。
背がスラッと高く、色白。鼻筋が通って、厚いしっかりとした唇。残念なのは、前髪が長く表情隠れてしまう。
随分、若い先生ね。
「あ、あの。子猫を拾ってしまって…。」
「見せてください。」
大きな手が差し出され、ハンカチに包まれた子猫を受けとる。
顔を覗き、目や口の中、耳をチェックする。
お腹や手足を触る。
「産まれて二週間位ですね。ちょっと衰弱しかかってますから、点滴します。」
「そうですか…。」
診察室に通され、診察台にあるタオルの敷いたかごに子猫を置く。
丸椅子を差し出され、座る。
手際よく、準備をする。
その間、優しい手付きで頭をそっと撫でたり。子猫はうっとりとする。
「この子猫、貴女は飼えますか?」
「え?」
言われてみれば、アパートはペット不可で昼間は仕事だし。飼うことなんて考えてなかった。
「…飼えないとなると、飼い主を探したりしないと。かわそうだからと、後先考えずに拾ったりしてはいけないんです。もしかしたら、近くに親猫がいたかもしれないですし。このまま見つからなかったら、保健所も…。」
「じ、獣医さんがそんな事を言うなんて。」
あんなに必死に鳴いていたら、手を差しのべるのが普通じゃないのかな?
あれは私を呼んでいたんだから。
助けて。
小さな命の叫び声。
「命を助けるのに、後先なんて考えないでしょう?!」
勢いよく、椅子から立ち上がる。
右の足首に激痛が走り、膝から落ちる。
咄嗟に腕が差し出され、抱え込まれる。
「…ありがとう。」
「…里親さがしましょう。それまで、こちらで預かります。でも、貴女も色々周りの方に飼えるか聞いてみてください。」
椅子に座らせ、私の前に屈み込む。
温かい手が、私のヒールを脱がせる。
「腫れてますね。」
立ち上がり、包帯と湿布を取る。
「脱いで下さい。」
「…え?」
「…ストッキング、脱いで下さい。」
先生の顔を見ると、耳まで真っ赤にしている。
「湿布を貼っておきます。明日、病院で診てもらって下さい。それから…先程は言い過ぎました。」
扉を開けると、ドアに仕掛けてあったベル鳴る。
中は外装とは違い、近代的なカウンターに待ち合い室。
「はい、どうされました?」
診察室の扉が開き、一人の男性が出てきた。
背がスラッと高く、色白。鼻筋が通って、厚いしっかりとした唇。残念なのは、前髪が長く表情隠れてしまう。
随分、若い先生ね。
「あ、あの。子猫を拾ってしまって…。」
「見せてください。」
大きな手が差し出され、ハンカチに包まれた子猫を受けとる。
顔を覗き、目や口の中、耳をチェックする。
お腹や手足を触る。
「産まれて二週間位ですね。ちょっと衰弱しかかってますから、点滴します。」
「そうですか…。」
診察室に通され、診察台にあるタオルの敷いたかごに子猫を置く。
丸椅子を差し出され、座る。
手際よく、準備をする。
その間、優しい手付きで頭をそっと撫でたり。子猫はうっとりとする。
「この子猫、貴女は飼えますか?」
「え?」
言われてみれば、アパートはペット不可で昼間は仕事だし。飼うことなんて考えてなかった。
「…飼えないとなると、飼い主を探したりしないと。かわそうだからと、後先考えずに拾ったりしてはいけないんです。もしかしたら、近くに親猫がいたかもしれないですし。このまま見つからなかったら、保健所も…。」
「じ、獣医さんがそんな事を言うなんて。」
あんなに必死に鳴いていたら、手を差しのべるのが普通じゃないのかな?
あれは私を呼んでいたんだから。
助けて。
小さな命の叫び声。
「命を助けるのに、後先なんて考えないでしょう?!」
勢いよく、椅子から立ち上がる。
右の足首に激痛が走り、膝から落ちる。
咄嗟に腕が差し出され、抱え込まれる。
「…ありがとう。」
「…里親さがしましょう。それまで、こちらで預かります。でも、貴女も色々周りの方に飼えるか聞いてみてください。」
椅子に座らせ、私の前に屈み込む。
温かい手が、私のヒールを脱がせる。
「腫れてますね。」
立ち上がり、包帯と湿布を取る。
「脱いで下さい。」
「…え?」
「…ストッキング、脱いで下さい。」
先生の顔を見ると、耳まで真っ赤にしている。
「湿布を貼っておきます。明日、病院で診てもらって下さい。それから…先程は言い過ぎました。」