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ここで待ってるから。
第13章 《沙矢子さんと総一朗君。》月まであと一歩
 とりあえず、家に帰りベッドに寝転がる。

 倉城総一朗。

 先生の名前。昼間はお祖父さん先生が担当して、夜間は倉城先生が担当しているらしい。

 抱きしめられた時の事を思い出す。

 服の下は以外と筋肉付いていたな。あと、前髪から覗いた大きなきれいな瞳。
 耳に残る、低い声。

 …不倫相手と別れたさみしさに、この先生は毒にしかならない。

 とりあえず、身体を休めよう。
 眠りが私を抱きしめる。



「あら、こんな美人な子猫でした?」

 次の日、土曜日の夕方動物病院に行く。

「美人というより、美男子です。」

 元気よく鳴く子猫は、綺麗にされブルーの瞳を輝かせている。

「男の子だったんだ。あ、先生治療代とか入院代はいつお支払いしたら良いですか?」

「拾ったのなら、代金はいりません。その代わり、早く飼い主を見つけましょう。あ、そうだポスター作ったんです。見てもらえますか?」

 そう言って、受付のパソコン周りを何かを探す。

「あれ。USB無い。部屋かな…。お祖父ちゃん、ちょっと部屋に行ってくるから。」

 奥の倉庫から、備品の箱を抱え先生のお祖父さんがやってくる。

「おう。もう少ししたら、閉めるからな。おや、貴女が田畑さんかな?子猫を拾った。」

「はい。あの、ご迷惑おかけして…。」

「いや、いや。ご迷惑だなんて。小さな命を助けてくれたんだから、こちらこそありがとうですよ。」

「田畑さん、僕のパソコンで見せますよ。中に入って下さい。」

 診察室と備品室の間を通り抜けると、豪華な装飾の扉が現れる。
 その扉を開けると、アンティークの似合う内装にシャンデリア、厚いカーテン。洋風の広いリビングが目の前に広がる。

「古い家でしょう。大正時代に建てられたんです。」

 二階に案内され、部屋に入る。

 簡素なベッドに、壁一面に分厚い本が並んでいる。デスクも大きいいけど、パソコンと書類で埋め尽くされている。
 パソコンを少しだけいじり、何かをプリントする。

「この病院にも貼りますが、田畑さんの会社でも配ったりしてみて下さい。」

 子猫の写真と身体的特徴、病院の連絡先が記載されているポスター。

「かわいいから、案外早く飼い主が見つかるかもしれませんね。」

 なんでだろう。

 なんで、こんなに親切にしてくれるんだろう。

 涙が頬を伝う。

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