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ここで待ってるから。
第13章 《沙矢子さんと総一朗君。》月まであと一歩
昨日、はじめて会った人にこんな情けない姿を見せるなんて。
涙を止めようとしても、次から次へと溢れてくる。
この涙は何のための涙?
「…一人で、あんな夜中に歩いてる女の人の涙なんて理由は一つですね?」
ふっ、と声をかけられ顔をあげる。
見透かされた。
大きな手が、私の頬を包む。
親指が涙を拭う。
「放っておけない。」
そのまま、親指は私の唇をなぞる。
優しくなぞられ、何かを期待してしまう。
「泣いている貴女は、誰を呼んでいるんですか?」
この先生からしたら、私は昨日の子猫と一緒なんだろうな。
かわいそうだから、拾っただけ…。
前髪に隠れた瞳が優しく私をみつめる。頬を両手で覆い、お互いに顔を寄せる。
温かい唇が、静かに重なる。
最初はぎこちなく、戸惑うようなキス。
頭の中が白くなる。
今まで、不倫相手しかキスをしたことがなかった。人生で二人目の人。
恋愛に疎く、つまらない学生時代。
社会に出ても、面倒くさがりな性格が恋に臆病にさせた。
はじめての恋愛に全てを捧げたのに。
なんて、惨めな終わりだったんだろう。
奥さんがいても、子供がいても私が一番好きでいて欲しかった。
お金なんて、宝石なんていらなかった。
先生の手が肩を撫で、背中に回る。
唇を啄み、舌が差し込む。
柔かく、潤った舌を探り絡める。
深く唇を求め、苦しいほどにお互いを埋め込む。
時々、息をするために離れる。それが、寂しくて直ぐに唇を求める。
何度も、何度も。
「…んっ。」
不意に身体が離れる。
先生を見ると、顔を赤くして困った顔をしている。
「す、すみません。」
なんで、謝るのかな。
謝るのなら、なんでこんな事したの。
「…帰ります。」
自分でも驚くほど冷たく放つ。
心臓が爆発しそう。こんな、激しいキスなんてしたことない。
身体中が熱くて、奥の方から止めどなく溢れてくるこれは何だろう。
病院を出て、一気に駆け出す。
今のキスは憐れみのキス。同情のキス。
男なんてみんな、最低。
隙をついて、男の欲望を押し付けてくる最低な生き物。
頭の中はキスする事だけ。セックスするだけしか考えていない。
優しくすれば、ヤレる女だと思われてるんだろうな。本当に最低。
涙を止めようとしても、次から次へと溢れてくる。
この涙は何のための涙?
「…一人で、あんな夜中に歩いてる女の人の涙なんて理由は一つですね?」
ふっ、と声をかけられ顔をあげる。
見透かされた。
大きな手が、私の頬を包む。
親指が涙を拭う。
「放っておけない。」
そのまま、親指は私の唇をなぞる。
優しくなぞられ、何かを期待してしまう。
「泣いている貴女は、誰を呼んでいるんですか?」
この先生からしたら、私は昨日の子猫と一緒なんだろうな。
かわいそうだから、拾っただけ…。
前髪に隠れた瞳が優しく私をみつめる。頬を両手で覆い、お互いに顔を寄せる。
温かい唇が、静かに重なる。
最初はぎこちなく、戸惑うようなキス。
頭の中が白くなる。
今まで、不倫相手しかキスをしたことがなかった。人生で二人目の人。
恋愛に疎く、つまらない学生時代。
社会に出ても、面倒くさがりな性格が恋に臆病にさせた。
はじめての恋愛に全てを捧げたのに。
なんて、惨めな終わりだったんだろう。
奥さんがいても、子供がいても私が一番好きでいて欲しかった。
お金なんて、宝石なんていらなかった。
先生の手が肩を撫で、背中に回る。
唇を啄み、舌が差し込む。
柔かく、潤った舌を探り絡める。
深く唇を求め、苦しいほどにお互いを埋め込む。
時々、息をするために離れる。それが、寂しくて直ぐに唇を求める。
何度も、何度も。
「…んっ。」
不意に身体が離れる。
先生を見ると、顔を赤くして困った顔をしている。
「す、すみません。」
なんで、謝るのかな。
謝るのなら、なんでこんな事したの。
「…帰ります。」
自分でも驚くほど冷たく放つ。
心臓が爆発しそう。こんな、激しいキスなんてしたことない。
身体中が熱くて、奥の方から止めどなく溢れてくるこれは何だろう。
病院を出て、一気に駆け出す。
今のキスは憐れみのキス。同情のキス。
男なんてみんな、最低。
隙をついて、男の欲望を押し付けてくる最低な生き物。
頭の中はキスする事だけ。セックスするだけしか考えていない。
優しくすれば、ヤレる女だと思われてるんだろうな。本当に最低。