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ここで待ってるから。
第13章 《沙矢子さんと総一朗君。》月まであと一歩
 正直、総一朗君との会話は楽しかった。

 大学生の頃の話し、動物の話し。病院の話し。
 私の小さな愚痴にも真剣に聞いてくれて、的確にアドバイスをくれる。
 今まで私の回りにはいないタイプの人だな。

「でも、いつから私を見ていたの?」

「うん?一年前くらいからかな。いつも、土曜日の夜に来てるな…と思って。僕も土曜日の夜は時間があるから、一人でフラフラここに来るんです。マスターとは小さい頃からの知り合いだから。」

 一年前か。
 不倫相手の要次さんに会った頃だ。金曜日の夜に会って、土曜日の朝には帰ってしまう。それが、寂しくて誰かと話したくてこの店に通うようになった。

 そっか。やっぱり、もう少し早く出会えていたら真っ当な恋愛が出来たかもしれない。

「…もう少し早くに、総一朗君に会えてたら良かったのに。」

 何杯目のカクテルに、ポロっと本音を溢す。

「そうしたら、恋愛を楽しめたのに…。今はただ、苦しいだけ…。」

 最初は結婚してるなんて、知らなかった。やっぱり飲み屋で意気投合して何回か会ううちに、男女の関係になった。
 私は、はじめての男に入れ込んだ。だから、結婚していても気にもしなかった。

 愛があるなら…。


 時間を確認しようと、携帯を見る。
 メールが一通、届いていた。

「…要次さん…。」

 不倫相手からのメールだった。

「メール、見ないの?」

 総一朗君に促され、メールを開く。

『やっぱり、沙矢子を諦めきれない。また、会いたい。愛してるのは、お前だけだよ。』

 そこまでは良かったのに。

『お前を抱きたいんだ。かなり、溜まってる。妻が妊娠中はできないから、体力有り余ってるよ。ハート。』

 ぶっ飛ばしてやろうか。
 なんで、こんな男を好きになったんだろうか。
 自分の暗黒の歴史だわ。

「…マスター!酒持ってこい、酒!!」



 どれだけ飲んだんだろうか。
 気がつくと、誰かに抱えられて自分のアパートの階段を登っている。

 温かい大きな手を辿ると、前髪に隠れた顔が側にあった。表情は街灯から逆光でよく見えない。

「沙矢子さん、鍵ください。」

 鞄から鍵を出し、渡す。
 弱冠、朦朧とした意識の中に安らぎを感じる。

 このまま、抱きしめられ眠れたらなんて幸せなんだろう。
 それは、私に許されるだろうか…。
 
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