この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ここで待ってるから。
第13章 《沙矢子さんと総一朗君。》月まであと一歩
正直、総一朗君との会話は楽しかった。
大学生の頃の話し、動物の話し。病院の話し。
私の小さな愚痴にも真剣に聞いてくれて、的確にアドバイスをくれる。
今まで私の回りにはいないタイプの人だな。
「でも、いつから私を見ていたの?」
「うん?一年前くらいからかな。いつも、土曜日の夜に来てるな…と思って。僕も土曜日の夜は時間があるから、一人でフラフラここに来るんです。マスターとは小さい頃からの知り合いだから。」
一年前か。
不倫相手の要次さんに会った頃だ。金曜日の夜に会って、土曜日の朝には帰ってしまう。それが、寂しくて誰かと話したくてこの店に通うようになった。
そっか。やっぱり、もう少し早く出会えていたら真っ当な恋愛が出来たかもしれない。
「…もう少し早くに、総一朗君に会えてたら良かったのに。」
何杯目のカクテルに、ポロっと本音を溢す。
「そうしたら、恋愛を楽しめたのに…。今はただ、苦しいだけ…。」
最初は結婚してるなんて、知らなかった。やっぱり飲み屋で意気投合して何回か会ううちに、男女の関係になった。
私は、はじめての男に入れ込んだ。だから、結婚していても気にもしなかった。
愛があるなら…。
時間を確認しようと、携帯を見る。
メールが一通、届いていた。
「…要次さん…。」
不倫相手からのメールだった。
「メール、見ないの?」
総一朗君に促され、メールを開く。
『やっぱり、沙矢子を諦めきれない。また、会いたい。愛してるのは、お前だけだよ。』
そこまでは良かったのに。
『お前を抱きたいんだ。かなり、溜まってる。妻が妊娠中はできないから、体力有り余ってるよ。ハート。』
ぶっ飛ばしてやろうか。
なんで、こんな男を好きになったんだろうか。
自分の暗黒の歴史だわ。
「…マスター!酒持ってこい、酒!!」
どれだけ飲んだんだろうか。
気がつくと、誰かに抱えられて自分のアパートの階段を登っている。
温かい大きな手を辿ると、前髪に隠れた顔が側にあった。表情は街灯から逆光でよく見えない。
「沙矢子さん、鍵ください。」
鞄から鍵を出し、渡す。
弱冠、朦朧とした意識の中に安らぎを感じる。
このまま、抱きしめられ眠れたらなんて幸せなんだろう。
それは、私に許されるだろうか…。
大学生の頃の話し、動物の話し。病院の話し。
私の小さな愚痴にも真剣に聞いてくれて、的確にアドバイスをくれる。
今まで私の回りにはいないタイプの人だな。
「でも、いつから私を見ていたの?」
「うん?一年前くらいからかな。いつも、土曜日の夜に来てるな…と思って。僕も土曜日の夜は時間があるから、一人でフラフラここに来るんです。マスターとは小さい頃からの知り合いだから。」
一年前か。
不倫相手の要次さんに会った頃だ。金曜日の夜に会って、土曜日の朝には帰ってしまう。それが、寂しくて誰かと話したくてこの店に通うようになった。
そっか。やっぱり、もう少し早く出会えていたら真っ当な恋愛が出来たかもしれない。
「…もう少し早くに、総一朗君に会えてたら良かったのに。」
何杯目のカクテルに、ポロっと本音を溢す。
「そうしたら、恋愛を楽しめたのに…。今はただ、苦しいだけ…。」
最初は結婚してるなんて、知らなかった。やっぱり飲み屋で意気投合して何回か会ううちに、男女の関係になった。
私は、はじめての男に入れ込んだ。だから、結婚していても気にもしなかった。
愛があるなら…。
時間を確認しようと、携帯を見る。
メールが一通、届いていた。
「…要次さん…。」
不倫相手からのメールだった。
「メール、見ないの?」
総一朗君に促され、メールを開く。
『やっぱり、沙矢子を諦めきれない。また、会いたい。愛してるのは、お前だけだよ。』
そこまでは良かったのに。
『お前を抱きたいんだ。かなり、溜まってる。妻が妊娠中はできないから、体力有り余ってるよ。ハート。』
ぶっ飛ばしてやろうか。
なんで、こんな男を好きになったんだろうか。
自分の暗黒の歴史だわ。
「…マスター!酒持ってこい、酒!!」
どれだけ飲んだんだろうか。
気がつくと、誰かに抱えられて自分のアパートの階段を登っている。
温かい大きな手を辿ると、前髪に隠れた顔が側にあった。表情は街灯から逆光でよく見えない。
「沙矢子さん、鍵ください。」
鞄から鍵を出し、渡す。
弱冠、朦朧とした意識の中に安らぎを感じる。
このまま、抱きしめられ眠れたらなんて幸せなんだろう。
それは、私に許されるだろうか…。