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第13章 《沙矢子さんと総一朗君。》月まであと一歩

　部屋に入り、ベッドに寝かされる。

　総一朗君は私の身体に布団を掛け、灯りを消す。自分でもわからないまま、服の裾を掴む。
　何かを期待している訳じゃないけど、今は一人になりたくない。

「…行かないで。」

　あまりにも恥ずかしくて、顔を上げることができない。

　総一朗君だって困ってる。
　何も言ってくれない。

　耳元に息遣いが聞こえる。

「…結構、我慢してるんです。これでも。」

　布団を剥がされ、総一朗君が私に跨がる。

「そ、総一朗…君。」

「…大丈夫。」

　頬にかかる髪を払い、首筋を撫でる。

「泣かなくていいんですよ。」



　お互いに服を脱ぐのももどかしく、唇を重ねる。吐息と喘ぎが混ざり、二人の境界線がわからなくなる。　柔かな唇を甘く食み、啄む。
　潤った舌はお互いを探り、絡め合う。

　大きな温かい手は、乳房を優しく愛撫する。

　その優しい感覚に身体が痺れ、溺れて行く。

「…あっ…。」

　時々、乳首を指で摘ままれる。
　その度に、身を捩り熱い吐息を吐き出す。

　要次さんとは違うタッチで、快楽へ誘われる。一方的なセックスではなく、お互いを労り思いやりのあるセックス…。

　こんなに気持ちいいんだ…。

　知らなかった。

「…んっ、あっ…。」

　はだけた服や下着を脱ぎ、二人とも裸になる。

　肩や腕をさすり、肌に触れる。

「きれいです。」

　薄暗い中に、二人の身体が蒼白く浮かび上がる。総一朗君は私の脚を押し広げ、顔を近づける。
　柔かな舌が、そっと花弁を舐める。

「んんっ…だ、だめ。シャワー浴びてないし…。きれいじゃない…。」

　総一朗君の頭に手を伸ばし、押し返す。

「そんな事、気にしません。」

　要次さんは、ほとんどクンニなんかしてくれなかった。
　すごく、気持ちいい…。
　身体が溶けてしまいそう。

　舌の動きは繊細で、花芯を静かに舐める。

「うっ、んんっ…。い、いやぁ。んっ。」

　どんどん、愛液が溢れてくるのがわかる。
　いつの間にか、シーツを濡らしていた。

　こんなに感じるなんて…。

「わ、私…んっ。こんなの、はじめて…。」

　密が溢れる、入り口も舐め啜られる。
　同時に鼻で花芯をノックされ、さらに身を捩り歓喜する。

「…いっ、あっ。あっ。」

　脚を閉じようとしたが、総一朗君は更に押し広げる。