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ここで待ってるから。
第13章 《沙矢子さんと総一朗君。》月まであと一歩
 朝日がカーテンの隙間から差し込み、頬に当たる。

 眩しい。

 そっと、目を開け時計を探す。
 いつも、目を開けると視線の先に壁に掛けた時計があるのに。

 目の前には壁一面の本棚。

 …あれ?見た事ある。ここは。

 自分のアパートじゃない。そっと、周りを見る。

 目の前に、総一朗君の顔があった。

 目を閉じて、規則正しく寝息を立てている。長いまつげに、スッとした鼻筋。少し大きめだけど柔らかい唇。

 なんで?

 良く見たら、腕枕をしてくれている。

「そ、総一朗…君。」

 手で総一朗君の頬に触れる。温かい頬。そのまま、長い前髪を上げる。

 眉が寄り、ゆっくりと目が開く。

「…おはよう、沙矢子さん。」

 総一朗君は私の身体を抱き寄せ、肩に顔を埋める。くすぐったくて、離れようとするが離れない。抱き締めた腕に力が入る。

「…総一朗君、離して。」

「離しません。」

 きっぱりと言われる。

 小さな溜め息をつき、身体の力を抜く。
 総一朗君の肌の温かさを感じる。

 良く見ると、二人とも裸のまま抱き合っていた。

「な、なんで?裸に?えっ?」

 慌てて、ジタバタする。

 総一朗君の唇が肩に触れる。そのまま吸われ、キスマークがつけられる。

「は…っ。だ、だめ。」 

 優しく背中や腕を撫でられ、ゾクゾクする。

「やっと手に入れたモノをそう簡単には手放しませんよ。」

 意地悪そうに笑う。

「朝も昼も、夜も貴女を抱きたいんです。喘ぎ声も囁く声も聞いていたいんです。」

 ああ、もう遅い。
 逃げ出すには遅すぎた。

 とっくに私は彼に囚われている。

「…絶対に、離さない。」



 ベッドの上で二人は絡み合う。

 座る総一朗君に跨がり、抱き合う。
 乳房を吸われ、乳首を舌で転がされる。甘い刺激は腰を浮かせ、黒い茂みに隠された淡い桃色の花は蜜を滴らせる。

 いきり立つ、欲望の切っ先を静かに花は受け入れる。

 お互いの身体を撫で、擦り、揺る動きで快感の波を呼び起こす。

 貴方が離さないと言うなら、私ももう離さない。

「総一朗、君…。」

 抱き合いながら、目を覗く。

 そこには、欲望と情熱の炎がゆらめいている。

 決して、消えることのない。
 誰にも消せない。
 

「沙矢子さん…。」
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