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ここで待ってるから。
第13章 《沙矢子さんと総一朗君。》月まであと一歩
 総一朗君とのセックスに何度も、何度も絶頂を迎える。

 尽きることのない、飽きることのない。

 お互いを貪り、激しく交わる。

 求めるものをすべて与え、与えられたものを全て飲み込む。

「総一朗、君。好き。」
 

「うん。沙矢子さん。僕も好きです。」

 何も怖くない…。
 傷ついても、ボロボロになっても。

 そんな私を必ずこの人は手を差し出して、助けてくれる。






「えっと。はじめまして、小雪です。」

 病院の待ち合い室で、小雪さんを紹介される。

 目が大きくて、小柄だけど可愛らしい女性。ペコッ、と頭を下げる。

「甥の総一朗がお世話になってます。」

「小雪ちゃんは、僕の母の妹。つまり、叔母さんです。大事な身内です。叔母さんって呼ぶと怒られるから、小雪ちゃんって呼んでます。」

「姉とは歳が離れていて。総一朗が小さい頃、姉は早くに病気で無くなりまして…。私と父…大先生とで総一朗をここまで、育て上げたんですよ。」

 小雪さんの足下に、フガフガ言ってる白い生き物がいる。

「この子が、小百合です。」

 白地に脇腹に薄い茶色の柄がある、ブルドッグ。

「可愛いでしょう。私の大事な娘です。」

「小雪ちゃん。帰ってきてくれて、ありがとう。やっと決心ついた?」

「…今回、こっちに来たのはお父さんが腰をいためたからであって、あの事は私は了承してませんからっ!」

「でも、もうそうも言ってられない。駅向こうに、新しく病院出来たし。新しく何かをしなくては、患者さん達は飽きて、他の病院に行ってしまいますよ。」

 何かこのもめ事で、小雪さんは病院を離れてしまったらしい。

「う、うーん。沙矢子さんはどう思う?」

 小雪さんは、カウンターの裏から大きめの袋を取りだし、開ける。

 中から、黒いヒラヒラワンピースと白いエプロンが出てきた。

「病院と併設して、犬&猫カフェをオープンしようって。で、このメイド服を私に着ろって言うんだけど…。流石に三十路にはきついかな…。」

「大丈夫、小雪ちゃんかわいいから。」

 真顔で総一朗君は言う。
 私も小雪さんは似合うと思う。

「小雪さん可愛らしいから似合うかも…。」

 小雪さんの顔が青くなる。

「…。」

 小さい溜め息をつく。

「沙矢子さん。気を付けなさい。この子、顔に似合わず野獣だからね。」
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