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セルフヌード
第4章 光と闇





 美優は夢でも見ている心地で、皇子に扮した美女についてロビーを抜けた。


 いつだったかこっそり立ち読みした雑誌で見かけた。

 究極のデートスポット。甘く情熱的なミッドナイト。

 浮かれたキャッチフレーズに持ち上げられて、このホテルの写真があった。


 すれ違う宿泊客は、二人組ばかりだ。


 美優の腰になつみの腕がまといつく。

 上体をやおら引き寄せられても、周囲の客に流されて、いっそ美優からもすり寄った。


「花、こういうのってどうしたら良いかな」

「ご自由に。部屋に花瓶あるし、お持ち帰り希望なら洗面器にでも置いとけば?」

「うん、そうする」

「デートみたいって、思ってる?」

「うん、……」

「私も」

「…………」

「心臓の音、聞かせて」

「……恥ずかし、い……ぁっ」

 エレベーターに乗り込むなり、美優の片腕が縫いつけられた。

 鼻をくすぐる、甘く、どこか淋しい感じの匂い。なつみの匂いだ。

 美優の胸に彼女の頰の重みがすり寄る。心臓がいっそう早鐘を打つ。…………
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