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セルフヌード
第4章 光と闇
撮影の間、美優を今日まで凝り固めていた糸は霧散した。
食傷するほどの賛美と眼差し、美優をとりどりの絵に当てはめてゆくなつみの手。
なつみは終始恋人に戯れるように美優を扱い、その実、どこまでも透徹にカメラを覗き、摯実な双眸に美優を捉える。
柔らかで甘美な気体をしめやかな緊張感が引き締めた。
美優を絡め捕るリボンのようにくすぐったく、呼び水のように不可抗の気体。
レンズが美優をたわませる。シャッターの音が美優を髄から顫わせる。
なつみは最後に美優の小指にリボンを結んだ。小さな蝶の残した脚は、長く伸びた一方で、凄妖のカメラマンの小指を結んだ。…………
花蓮達が引き上げたあと、恋人達のデートスポットに、美優となつみだけが残った。
ライトの残影が目にしみるのを凝らして、美優は街を見下ろしながら、取り寄せたフレンチを味わった。
ネオンの溟海、そしてとろけるように美味な料理を挟んだ真ん前に、皇子の姿を借りた姫君が一人。
月より明るい眼差しが、美優の総身を絶えなく撫でた。