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セルフヌード
第4章 光と闇


 去り際なつみに覗いた表情が、美優の胸にざわつくような余韻を残す。

 珍しいほど狼狽えていた。


「…………」



 劣情の余韻を振りきって、美優は身なりを整えた。

 廊下に出てすぐのところに、なつみは腰を下ろしていた。

「大丈夫?」

「大丈夫じゃないかも……消化不良。やっばー……美優抱かなくちゃ寝られない……」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。ね、ちゃんと休んでる?写真展、準備の間もスタジオのお仕事あったっていうし……ただでさえ細いんだから、栄養とってる?」

「テレビに出てくるお母さんみたいなこと言わないで。ちょっと座ってれば治るから」



「──……」

「そんなに心配?」

「うん」

「じゃあさ」


 やにわに美優の片手が引かれた。

 何事もなかった涼しい顔だ。なつみがすっくと立ち上がる。


「抱き美優させて」

「──……」

「下敷きにしちゃったら美優潰れるし。それとも、美優自分で処理する?見ててあげるっ」

「…………」


 美優はなつみに手を引かれて寝室へ戻っていった。


 抱き枕になって眠るだけの夜も、良いかも知れない。
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