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セルフヌード
第4章 光と闇
「美優も、やっと女の子らしくなってくれたのね。良さんも喜んでいるでしょう。……美優。きっと、子供が出来たら今日のことは聞かせてあげなさい。貴女、自慢の母親になるから」
「出来るか分かんないよ」
「ダメよ、美優はそんな弱気だから、昔からぱっとしないの。大丈夫だから。二人ともお医者様には何も言われなかったんでしょう?ね、嶋入さんも、美優の赤ちゃんご覧になりたいわよね」
「お母さん!」
ひねり潰されそうになる胸を押さえて、美優はなつみをちらと見た。
「美優のお子さんなら、きっと可愛いと思います」
「でしょっ?ほら美優、お友達も言ってるんだから。……本当に、こんなに可愛くて有名な方とお知り合いになれたなんて、美優どうしたの?嶋入さん、お母様もさぞお綺麗でしょう」
「あ、はい」
「お会いしたかったわ。興味ある。どんな親御さんがお育てになったら、こんな良いお嬢さんになるのか……。ここにはもう来られたの?」
「呼んでませんから、……」
「ダメよぉ、お呼びしなくちゃ。私もね、今日来て良かったから。だって嬉しいじゃない。だから貴女も──」
「お母さん!」
「良いんです」
お喋りな母親をまたぞろ美優が咎めかけたのに、なつみの声が被さった。
「いつでも会えるので、普段あんまり話さないんです」
美優は一端ギャラリーを出て、近くのカフェに場所を移した。
数ヶ月振りの母との会話がまるで頭に入ってこない。
良の優しさをあだで返して、たえの気持ちを踏みにじって、それでも得るだけの価値のあるもの。
美優が本当のろくでなしになったとする。
それでもなつみは、美優を愛してくれるだろうか。