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セルフヌード
第4章 光と闇

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 欲望と本能はひとところにあるようで、まるで違う次元から反撥し合うものではないか。



 根拠など振り返るだけ色消しだ。

 美優を手離せなくなっている。

 出来ることならおりふし感じるもどかしささえ、永遠に葬ってしまいたい。


 優しいだけ、運良く出逢うのが早かっただけの男の懐から取り上げて、なつみに紐づくものを除く一切のものを、あの瞳から排除したい。



 女は女であるだけで美しい。愛慾の対象に至らなきにせよ、男も同様。

 かたちあるもの、何かしらの存在をとどめるものは、何かしらの美が備わっていたはずだった。



 母親は特異の道徳の持ち主だった。美しい彼女は美しい彼女自身を愛し、娘の美を妄信し、娘にも独特の美徳をすり込んだ。




 美優に逢って、同じ時を過ごすに従い、なつみの信じていたものが崩れていった。



 手に入る保証もない令閨に跼蹐して、あまねく花達を見切った。

 そのくせ必要な一歩を踏み出せない。



 さらってとりこめたいという欲望。

 愛する者の涙という刃に怯えた心臓が貫かれるのを怖れる本能。…………
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