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セルフヌード
第4章 光と闇
悲劇的な満月が住宅街を照らし出していた。
一人で帰り着くには広すぎる。なつみが私宅に戻ると明かりがついていた。
姉とは似ても似つかない、生きながらに死んだ女が、リビングでグラスを傾けていた。
「待ちくたびれたわ」
「──……」
物心ついた頃から苦手だった叔母との関わりは、彼女の口からある事実を打ち明けられて以来、難易度を増した。
「随分、話題ね」
「何のお話ですか」
「お前の可愛い花嫁のこと」
「──……」
「四年前を思い出すわ。お前と関わったばかりにモデル生命を断たれた不幸なお嬢さん……あの娘が消えて、お前は芸術界を去った。けれどお前は例の写真で返り咲き、世間の予想を裏切った」
女は──…広栄は横柄に、手にしていたグラスをテーブルに置いた。
「私がどれだけ不快か分かる?」
「多くを望んではいません」
「そう。なら話は早いわ。あの女を呼び出しなさい」
広栄の斜め後方に控えたまま、なつみは叔母の聞くに耐えない悪ふざけに言葉を失う。
四年前、広栄は『少女crater』のモデルの一人に目をつけた。
…──三人で楽しみましょうよ。お前は私が可哀相でしょう?だったら。…………
なつみは少女を呼び出した。
だが、広栄は姪を私宅に禁足し、待ち合わせのホテルへ一人で向かった。
二日後、なつみは少女がモデルを務めることになっていた、雑誌、広告、ファッションショーの全てが降板になったことを知った。清廉潔白な新米モデルは、暴力団と繋がっていたという。