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セルフヌード
第1章 秘密の快楽
美優は水位の下がったカップから、女を見上げる。
「どのようなご用件ですか?私、帰ってお夕飯を作らなくてはいけないんです。からかうなら──」
女の目が、ふっと笑った。まるで売り場に並んだぬいぐるみの中に、不細工だが放っておけない、いわゆるブサカワというものを見つけた女子大生の表情だ。
美優の中で羞恥が広がり、自尊心がくずおれてゆく。
「ほんとにお夕飯作るだけですか?」
「何が……言いたいの」
貴女だって帰ったら自分のヌードの閲覧数をチェックするくせに。
「私、お姉さんの秘密、知ってるかも」
同じく私も知っています。
「ダージリン以外は見る気なかったよ。職業病ってやつかな。人の撮ったものに……って言えれば聞こえは良いか。ぶっちゃけお姉さんと話したかっただけなんです」
「──……。……はい?」
美優は腰を屈めたまま、伏せがちなホワイトピンクの目蓋の下に、摯実な双眸の煌めきを見た。
女に片手首を押さえられているために、中途半端に腰を浮かせていた。立ち上がりたくても立ち上がれない。座りたくても座りにくい。
美人のシリアスな表情は、信用するに値しない。顔の美しい人間は得だ。変幻自在に自分自身を演出出来る。喜びを伝えたければとびきりまばゆく笑えるし、悲しみを訴えれば必要以上に憫諒を誘う。
女も、男も、こうして従わせてきたのだ。このような女は。
「やっと見つけた。お姉さんに会いたくて、市内中を探して、やっと」