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セルフヌード
第4章 光と闇
広栄はなつみを浴槽の蓋に突き倒し、パンティを下ろした。
「っ……」
愛に涸れたなつみの割れ目を、広栄の足先がなじる。
なつみの僅かに湿った窪みに、広栄が親指をねじ込んでゆく。
きりり……
「ぁっ、……ん」
粘膜の切られるような不快に頬を歪めたなつみの顔を、広栄の指が持ち上げた。
「美しいわ。……なつみ」
「はぁっ、ん……はぁっ、……」
「美しく……無様だわ」
広栄の指が、ベビードールを這ってゆく。
「ゃっ……あ……」
「花嫁は知っているのかしら」
「……彼女は、……っ」
「お前のこんな本性を知っても、……あんな風に信頼した顔で笑うのかしら」
「…──っ、……」
シャワーが月の瑕疵を打つ。
潤みに滲んだ血液が、湯に混ざって広がり出す。…………
そう、美しい女の遺伝子を継いだ美しい女の身体には、神に離反しただけの烙印がある。
華やかな洋服に──…光という闇に遮蔽しても薄れることない、かつての無知の白さを知る広栄でさえ目を背ける、醜悪なものが。
なつみの実父は広栄の良人だ。
広栄の姉は不義の愛の間になつみを産んだ。
朗らかに笑い美を信仰した母親が、慈しんだ妹に強いた最悪の仕打ち。なつみの父親の生殖器は一人の他人を残した時、役目を果たした。
楽天的な母親は、二人目の男と二人目の子供を産み落としてこの世を去った。
誰もが信じられないことだった。広栄一人は納得していた。
姉の忘れ形見を赤の他人と同じ屋根の下で住まわせるわけにはいかない。
広栄は正論を主張して、なつみを養父から取り上げた。
二年ほどは実の娘のようになつみを愛した。だが、世間は広栄の傷を抉った。傷は広栄に彼女自身を慈しむことを促した。
…──いつでも会える。
そこに偽りはなかった。
死者との再会。
さして難しいことではない。