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セルフヌード
第4章 光と闇
* * * * * * *
「親戚が出た?」
「……うん」
美優はスマートフォンの通話を切って、今しがたなつみの代わりに電話に出た女のことを良に話した。
午後九時半過ぎ。
美優と良は、夕餉には幾分相応しからぬ格好で、ディナーを仕切り直していた。
歓談しながらデザートまで楽しんだところで、にわかに美人カメラマンの話題が上がり、美優はスマートフォンを手にとったのだ。良の提案だった。
「変なご近所さんだって思われちゃったかな。こんな時間にお漬物のライスサンド、差し入れに行きたいなんて」
「親戚なら事情分かってるだろ。ただでさえ忙しい時期に雑誌の仕事も休まねぇで。飯くらい近所の人間が差し入れねぇと。親戚の人、何て?」
「お待ちしていますって」
「やっぱ分かってるじゃないか。さっさと行ってこい。何があったら電話するんだぞ」
「うん、……」
美優はソファからワンピースを拾い上げて、身を整える。
良と美優の合作メニュー。
本当はなつみに差し入れるのに気が進まない。
「じゃ、行ってくる」
「おう、ゆっくりしてきな。変なやつについて行くなよ」
「子供じゃないんだから」
美優は良と笑い合い、後方から頼もしい視線に守られながら、夜のとばりへ出ていった。