この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
セルフヌード
第4章 光と闇
インターフォンのチャイムを鳴らすと、返事はなかった。
美優はスマートフォンを操作して、到着の旨をメールに打ってなつみに送った。
返信を待つこと三分が過ぎて、いよいよ胸がざわつき出した。
部屋の明かりはついている。美優が訪ねることになれば、必ずと言って良いほど玄関で待機していてくれるなつみに限って、風呂に入っているとは考え難い。
ピーンポーン──……
「…………」
返事は、二度目もない。
「…──!!」
にわかに空耳のような音声が、美優の鼓膜を締めつけた。
「…………」
今の悲鳴は、家から聞こえた。
スマートフォンを操作して、美優は今度は発信する。
呼び出し音は続くばかりだ。まもなく留守番電話に切り替わった。
「…………」
美優は、バッグのポーチから鍵を引き抜く。
持っているだけ。
優しい時間の中での約束が、美優のこの先の行動を咎める。
だが、胸騒ぎがする。もとよりさっき電話に出たのは、本当に親戚の人間か。
男は容易く撃退しても、恨み辛みを引きずらせた女には、髪まで切られる恋人だ。