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セルフヌード
第4章 光と闇







 インターフォンのチャイムを鳴らすと、返事はなかった。

 美優はスマートフォンを操作して、到着の旨をメールに打ってなつみに送った。


 返信を待つこと三分が過ぎて、いよいよ胸がざわつき出した。

 部屋の明かりはついている。美優が訪ねることになれば、必ずと言って良いほど玄関で待機していてくれるなつみに限って、風呂に入っているとは考え難い。


 ピーンポーン──……


「…………」


 返事は、二度目もない。



「…──!!」



 にわかに空耳のような音声が、美優の鼓膜を締めつけた。



「…………」



 今の悲鳴は、家から聞こえた。



 スマートフォンを操作して、美優は今度は発信する。

 呼び出し音は続くばかりだ。まもなく留守番電話に切り替わった。


「…………」


 美優は、バッグのポーチから鍵を引き抜く。


 持っているだけ。


 優しい時間の中での約束が、美優のこの先の行動を咎める。


 だが、胸騒ぎがする。もとよりさっき電話に出たのは、本当に親戚の人間か。



 男は容易く撃退しても、恨み辛みを引きずらせた女には、髪まで切られる恋人だ。
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