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セルフヌード
第5章 少女と被虐
「いつ行ってくれたの?」
「休み明け。月曜だったかな」
「そうなんだ。……有難う」
なつみは無事だったのだ。
もとより美優の見たものが、ついこの間まで恋人と呼んでいた女の生命をおびやかすような呵責だったとは限らない。世の中には常人の理解を超えた性癖がある。
「みーこ、顔色悪いよ。風邪?」
「──……」
着古したパーカに、いつかのバーゲンセールで得たボトム。
友人から逃れた黒目が捉えた美優の身なりは、一週間前のそれなど影も形もなくしていた。
「はるこ」
「ん?」
「好きな人が隠し事していたとするでしょ。例えば、外では言いづらいような。そこでね、そのこと自体に嫌な気持ちを持ったのか、隠されていたことが悲しいのか、知っちゃったからその人の気持ちを思うと戻っていけないのか、分からないの。そういう女の子、どう思う?」
「良先輩、美優に何か隠してたの?」
「良くんの会社の人。えっと、……身内に……暴力、振るわれて……」
「──……」
あの夜、なつみと一緒にいた女は、親戚の人間を自称していた。
実際、信憑性はあった。美優が訪った時、そこにいたのは少なくともなつみが戯れの相手に選ぶタイプの女ではなかった。