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セルフヌード
第5章 少女と被虐
「そろそろ、話してくれない?」
「──……」
「四日前と昨日。私が追い返したおばさん、なつみの叔母よね?」
「……はい」
「貴女がストーカーと置き換えて私に説明したのは、あの人よね?」
「──……」
広栄は総子を覚えていた。
最後に顔を合わせてから、広栄は二度、ここを訪ねた。
総子はなつみに部屋で待っているよう言いつけ、元教え子の体調不良を名目に、彼女が広栄の前に出た。姪の恩師に対する叔母の対応は、世間一般に見られる母親達と相違なかった。
「違い、ます」
「あの人、目が笑ってなかったけど」
「…………」
総子は、仕事のこととなると並外れた眼識を備えているくせに、私情が入ると抜けるところがある。余計な荷物を自ら担ぎたがるタイプだ。
「叔母に……会わせて下さい」
「本気で言ってるの?」
「…………」
「ちゃんと説明して。ここまでして、もう貴女に傷つかせたくないって……私のことまだ信じられない?」
「ごめん、なさい……、でも……」
白い小箱を開けてしまえばきっと終わる。
まだ、縋っていたいものがある。
遠くからで十分だ。見つめていたい炫耀が。