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セルフヌード
第5章 少女と被虐
* * * * * * *
アパートの階段を降りたところで、見ず知らずの女の平手が美優を打った。
女は我に返った様子で美優に謝った。美優は頬を押さえながら、女の顔を確かめた。
稲田総子だ。
「失礼したわ」
「──……。私にご用ですか」
総子が何故、近所中を探して小木曽という苗字を洗ったか。
確かめるまでもない。
だが、美優は心の整理を断念していた。
「どうしたいかは美優さんが決めること。ただ、答えによっては、貴女が私に会ったこと、なつみに黙っていて」
「何故、……」
美優一人が消えたところで、あの美人には、相手になる女がいくらでもいる。
知るべきでなかったことを知ってしまった。不器量な女に相応しい、不器量な本性を曝けてしまった。
美優に、なつみの側にいられる資格はない。だから忘れるつもりでいた。
出逢った春も、今も変わらない。
美優はなつみの側にいると惨めになる。
顔が劣っているのにとどまらない。
なつみは美優の身体を美しいと言った。それが何を意味していたか、考えれば考えるほど、美優の醜悪なところが浮き彫りになる。