この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
セルフヌード
第6章 最愛


 暫しの間、美優は眠らされていた。

 診察室で目が覚めて、看護師に聞かされたところによると、軽度の恐慌状態に陥っていたという。



 搬送後、なつみの意識はすぐに戻った。

 多量の出血は錯覚だった。ガラスと見られる傷は浅く、ミネラルウォーターが血液を広げたのだろうという。現場にいた看護師達が、医師に報告したことだ。



「検査の結果、破片も見つかりませんでした。数日経てば塞がるでしょう。古い傷のことはご存知ですか?」

「はい、……」

「一時的な意識不明の原因として考えられるのは、肉体内部の損傷です。深傷に至らなかったのは、それで手が鈍ったからでしょう。不可解なのは、投薬の形跡がありながら、わざわざ手首を……というのが……」

「どういうことですか?」


 美優は雑駁とした反感を抑え、医師を見据える。

 なつみに話を聞くまでは、自殺と決めつけたくはない。
 彼女に限って可能性は低い。思い起こせば美優が初めて私宅に泊まった夜から、時折、なつみは不調をちらつかせていた。今日も、失神が引き起こした事故だったのではないか。


「失礼ですが、貴女は?」

「あ、……その……」

「私達にはプライバシーを守る責任があります。嶋入さんとどのようなご関係でしょうか」

「…………」


 家族と呼んだことはない。さりとて事実を口にしても、所詮、不倫ととられるだけだ。


 美優にこそなつみを知る権利があるのに。
/269ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ