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セルフヌード
第6章 最愛


「…………」

「小木曾さん」

「……はい」

「安心して下さい。二次的に影響が出ることはありま──」

「そんなこと言ってるんじゃありません」

「っ、……」



 もらい受けられるものなら良かった。

 あれだけ一つに繋がっても、人と人である以上、一つになれない。

 なつみは美しい人。美優は、醜い。

 それでも自惚れていた。同じものになれる気がした。
 同じものになれる気がしたくらい、優しく、激しく、強く、美優はなつみに抱かれていた。



 悲痛な気分に追い討ちをかけるようにして、突然、猛烈な吐き気が美優を襲った。


「…──っ、……」


 体内から紫色の流動物が逆流せんと蠢く違和感。

 肉体的な悪心に飛び上がりそうになって口を抑えた。


「小木曾さんっ」

「うぅっ……うう"えぇぇぇ……っ」


 がたん……


 美優はのたうち、椅子の脚にくずおれる。

 医師が美優に腕を添えた。背中をさすり、必死に患者に呼びかける。

「小木曾さん、どうされました?!小木曾さ──…、…────……」…………



 清潔な瘴気の染み通った声が遠ざかってゆく。


 美優は、白濁した視界を酷使させられ、壊れた人形のように流し台へ運ばれていった。


 胃の中のものを全てなくした。


 沈痛な顔つきの医師達に身体中を検査され、それからまもなく、美優は別病棟へ移された。
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