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セルフヌード
第6章 最愛
「私ばっかり、……なつみは私のことネガティブだとかけなすけど、自分はどうなの」
「美優……それは、──」
「私、暗いし後ろ向きだし、いじけてばかりだよ。でも死にたくなったことまでない。なつみに話すもん。いやなこと、悩んでることも嬉しいことも、聞いてもらったら嬉しいもん。自分の顔がいやだった。やることなすことぱっとしなくて、どんなに頑張ってもダサくて、だけどなつみがけなしたり褒めたりしてくれるから、なつみに出逢って、綺麗って、外見だけじゃつくれないんだって分かった。だから前を向いて、背筋だけでも伸ばして歩こうって……毎日楽しくなったんだよ。私はなつみに弱いとこたくさん見せてきた」
「…………」
「私が行かなかったらどうなってたの。……私のこと、好きだとか言って、考えてくれてる気がしない。なつみは私なんてどうでも良いかも知れないけど、私、一人になりたくない。誰の話も聞きたくない。なつみの話が聞きたかった……」
耐えれないほど辛かったこと。
心身ともに追いつめられていたこと。
なつみが無事で、顔の筋肉もたゆまんばかりに安堵しているのに、ひとときの人心地にくるんだ真実が、美優のはらわたをちぎろうとする。
「お医者さんにもさんざん説教されたけど、死にたいと思ったわけじゃないんだ。気がついたらなんか止められなくなっちゃって、勢いっていうか、そんなつもりはなかったの」
「──……」
「美優にカッコ悪いとこ見せてばっかりだね。良くんの方がステキー、とか、思ってるでしょ」
「……ふざけないで」
「ごめん」
「…………。……身体、動いちゃダメじゃない?」
「普通に生活してる分には問題ないよ。叔母の性的趣向のために、私がびくびく生きなくちゃなんて勘弁」
「でも、……」
「美優こそ、おとなしくしないとだね」
「──……」
…──赤ちゃん、出来たんでしょ。
なつみの言葉は、黒より深い、おどろおどろしい黒を孕んで、美優を泥梨に突き落とした。