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セルフヌード
第6章 最愛


「有難う」

「──……」

「こんなに綺麗なの、……つけるの怖いよ。美優は、すごく似合ってる」

「そんな、……」

「大事にするね。一生……思い出に持っとく」

「はは、大袈裟だよ」


 胸騒ぎを振り払うようにして、美優は笑って紅茶を味わう。

 美優もなつみも、今や何一つ互いに知らないことなどない。

 これから二人で積み重ねてゆく。終わりのない、これからが本物の思い出でいっぱいになる。

 たくさん、アルバムに収まりきらないくらい、きっと写真も増えてゆく。



「取材旅行、来週だっけ」

「うん」

「メールして良い?」

「──……、時差大きいんだって。ごめん。美優、今は規則正しく寝ないと」

「…………」

「お菓子の家、美味しい。良くんより早く美優に会ってたら、毎日美優の手料理食べられたのに」





 今すぐにでも、言いたい。

 なつみだけを愛していると。


 良に別れを告げて、美優は彼女のものだけになりたい。


 だのにしがらみが美優を邪魔する。


 なつみが受け入れてくれない気がした。




 このタイミングで本心を告げても、けだし同情ととられるだけだ。
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