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セルフヌード
第6章 最愛





「なつみ、……」



 嚥下した液体が美優をさばかりきららかせていた。


 美優は何十回目かのキスの途中、なつみのブラウスに手を伸ばし、襟元を留めたボタンを外した。


「ダメ、美優……」

「触れたいの」


「やめて。……お願い……」


 美優は、自分の手を制したなつみのそれを引き寄せて、華奢な指先を唇で触れた。


「私のこと、愛してくれているなら」

「愛してるから、……」

「だったら見せて」



 救いようのないほど美しい、その心魂をくるんだ肉体を。



 華やかな洋服から現れたのは、機能しているのが不思議なくらいの月の裏側。



 美優はキスの続きをしながら、シフォンのベビードールをまくり上げて誘惑的な果実を剥いた。

 ブラジャーに収まっていた曲線は、ニードル跡や変色さえなければ、さぞ見事だったろう。

 傷に障るまいと慎重に、美優はなつみを啄んでゆく。

 徹底した自己愛ぶりを見せながら、なつみの肢体は怯えに怯えきっていた。



 どれだけの記憶が刻まれているのか。どんな痛みがそれらの轍を散りばめたのか。



 あの夜の恐怖はなかった。


 美優は、高級なドールでも愛でているようにして、なつみがいつも美優にしているのと同じことを倣う。
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