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セルフヌード
第6章 最愛
「待って……なつみ、待って!」
奢侈な姫スタイルの洋服を着込み、なつみがバッグにカメラを詰めて、たえの脇をすり抜けていく。
美優は死に物狂いで下着をつけて、たえの悲鳴と制止を振りきる。
玄関に駆け込むと、靴はなくなった後だった。
たえは、美優の妊娠を祝いに訪ねてきたのだと言った。
良が不在であることは、当然、知らなかった。
美優はなつみとの関係を問いつめられた。何も答えられなかった。泣くしかなかった。
母親と同じ屋根の下にいて、こうも冷たい夜を過ごしたのは初めてだ。
美優はたえと一言も口を利かないで、寝台に入った。
深夜に物音がした。たえが家の中を物色しているようだった。
なつみが好きだ。一緒になりたい。
たったそれだけの一言が、何故、大好きな二人に伝えられないのだ。
明け方、メールが届いた。
"最後まで泣かせてばかりだったね。ごめん。美優、愛してる"
なつみらしくない、たった二行のメールは、耳の奥に残った罵倒以上に美優を打ちのめした。