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セルフヌード
第6章 最愛
総子が取材を持ちかけた役員は、都修造だった。
りのをもてあそんでいた男。
りのは、修造を許したという。電話越しに話した親友は、幸せそうにはにかんでいた。
それでも、罪は罪だ。
愛されるだけ愛されて、なつみは母親に何も返せなかった。
何も知らないでぬくぬくと生きて、ありもしない母親の贖罪を代わったつもりになっていた。
こんな自分に最後まで幸福を得る資格はない。
最近になって、初めて他人を憎むということを覚えた。
養父と、一度だけ顔を合わせた役員。かつて『少女crater』の表紙を務めたモデルを身篭らせた男達。
生きているだけの価値もない。
男というものが苦手だった。うわべでは友情を示しても、腹の底では敬遠していた。
本能的な何かがなつみに壁を張らせたのかも知れない。
たったひと握りのうじ虫のために、罪のない男達を嫌悪する。
なつみこそくだらない人間だ。くだらない人間になり下がるだけの理由はあった。
それが母親に対する懺悔でも、彼女の戒めた憎悪というものも認める。