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セルフヌード
第6章 最愛
* * * * * * *
嘆く空が泣いていた。
六月も末、連日の雨で町はすっかり湿っぽかった。
何がそんなに不満というのだ。
濡れた霄漢を眺め、美優は窓を打つ雨の音に耳を傾けていた。
「美優、帰ったぞ」
「良くんっ」
「じゃーん、美優の観たいって言ってたDVD。やっとレンタル出来たぜ」
「有難う」
「な、俺この役者のモノマネ得意なんだ。見てくれねぇ?」
「うん、良いよ」
良がテレビの前に立ち、一人芸を始めた。
全く似ていない。
美優が空笑いすると、参ったな、と、純朴な顔が決まり悪そうに緊張をといた。
「もう、良くん、夜なんだからお隣さんにも迷惑だよ」
「そっか、じゃ、DVD観るか?」
「ううん、今日はいい」
風呂の準備へ向かった良の背中を見送って、美優はレンタルビデオ店の袋を開く。
二ヶ月ほど前、確かに興味を惹かれた覚えのあるタイトルが目に飛び込んだ。