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セルフヌード
第6章 最愛
雨は上がり、うだるような季節が巡ってきた。
目頭をのべつ苛む涙を喉に流し込み、美優は良と未だかつてなかったほどの時を共に過ごした。
良がデジタルカメラに収める美優は、どこにでもいるただの女だ。
ひと夏が去り、新涼が紅葉をそよがす頃、腹は世間一般に幸福と呼ばれるもので満ちていった。ポートレートに微笑む女は、囚人か奴隷のような顔をしていた。
親戚中が美優を祝った。さして話したことのない近所の主婦まで、美優に親しく接する。
…──ウチの主人は育児も放ったらかしなの。小木曾さんのところは良いわねぇ、男の人が産休なんて、そんな幸せ者は貴女くらいよ。
主婦達は美優を羨みながら、子育ての玄人を自負した。美優に母親とは何たるかを延々と説く。ついでに美優の化粧を褒めた。
…──小木曾さんって、レースやフリル、好きでしょう。前に街で見かけたことがあるの。お腹へっこむまでの辛抱ね。
「みーゆうっ」
「ひぁっ」
クローゼットと押入れを往復していた美優の乳房を、肉厚の指がにゅっと掴んだ。
良の手が、衣服に隠れた果実を遊ぶ。
「今、衣替えしてるの。集中したいから……っ」
「良いじゃないか。こんな可愛い奥さんがいたら、……な?」
「今日中に終わらないじゃない」
目くじらを立てた美優の側から、衣装ケースが滑っていった。
良が、美優の作業を再開していた。
「…………」
「紅茶淹れてきた。飲んでこい」
「良くんは?」
「これやっとく。美優さ、無理すんなっつってんじゃん」
「──……」