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セルフヌード
第7章 喪失という残酷





 こんな日々を、あとどれだけ繰り返すのか。

 考えただけで美優の体内をおどろおどろしい黒が蝕む。



 なつみと再会することを諦めた日の夜、美優は良に問いつめた。

 良は、悪びれもしないで言った。


 身体のために、美優が無事に産むまで知らない方が良いと思って。


 良も、彼の会社も、たえも皆、美優に咲希を産ませることだけ考えていた。

 美優にとってどれだけなつみが大切だったか。まして咲希がここにいるのが彼女のお陰だということなど、彼らの想像にも及ぶまい。



 美優は、自分自身が許せない。

 あの日、気持ちを伝えていれば、なつみを捕まえておけたかも知れない。

 嫌われても構わなかった。美優が病院を探して、無理矢理にでも治療させるべきだった。


 美優は現実から逃げて、のらりくらりと暮らしていた。まだ、美人は美人に生まれただけで神を味方につけられるなどとタカをくくって。



 良を、兄のように慕っている。この一年を振り返ると恨んでも恨みきれないくらいだが、これだけ自分本位でない男も珍しい。美優を一番に考えてこそ、美優に取り返しのつかない仕打ちをした。



 このまま死ぬまで、良は美優を家事と育児に疲れた女として見てくれるだろうか。


 美優に、咲希から離れることは出来ない。



 最愛の人の許へ行けないのであれば、せめて、なつみの触れた場所を他の人間に触れさせない。
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