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セルフヌード
第7章 喪失という残酷







 ともすれば自涜のマテリアルになろうテネブリズムの写真集を良が見つけて一週間、例の風景写真家は、またぞろ人物被写体の新刊を出した。


 タイトルは、『明日』。


 総子らしい、言葉のセレクトだけはしかつめらしい。



 二冊目の写真集は光に溢れていた。


 花園に抱かれた少女の表情は、まばゆいまでの碧落の恵みに覆われていた。



 金色を吸った極彩色の表紙をめくると、フェルメールとカラバッジョが離縁していた。


 影は欠片もない。

 美しいドレスでめかし込んだ少女達は光と光の明暗に隠れ、笑い、なまめかしい誘惑を振り撒いていた。



 『記憶』も『明日』も、総子がかつての教え子の技法を模倣して、発表したのだ。




 だのに美優は、憤怒をしのぐ何かに急き立てられるようにして、写真集を開いてしまう。


 ページをめくって、言葉にならないやるせなさに酔い、なつみの影を追い求める。



 そうだ。これは総子の撮ったもの。





「…………」
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