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セルフヌード
第7章 喪失という残酷
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201◯年5月18日(金)11:02更新
[タイトル]
セルフヌード
[本文]
お久し振りです。
みゆです。
2年も留守にしてしまいました。
子供を産んでいました。
良人のことは、お兄ちゃんみたいなものなんですけど……。
みゆの裸、どうですか?
彼女に愛してもらって以来、誰ともそういうことしてなくて、皆さんの目にどう映るか心配です。
今からお気に入りのお洋服を着て、ヌード撮影が家族にバレないように、娘と一緒にカフェへ隠蔽作業に行きます。
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平日昼間のショッピングモールは、高齢者が大多数を占めていた。
時折、咲希より大きな子供を連れた母親が、美優達を追い越してゆく。
美優はカフェにまっすぐ向かった。
ダージリンの紅茶を頼んで席につき、スマートフォンをいじり始める。
二年振りに撮った裸体は、他人の目に触れても差し支えなかったデータフォルダの中で、いやに後ろめたい存在感を主張していた。
そして、光も。
見慣れた美優のベージュの皮膚が、まるでかの写真集の光──…希望に似通うものを放つ。