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セルフヌード
第2章 美しさという暴力

「細いね。……ちゃんと食べてる?ひとみ、あったかい。可愛いよ。綺麗だ……そそられる、……」

「ぁっん、はぁっ……なつみさん、こそ、はぁ……あっあぁぁ……」

 急ぐ必要はない。夜は長い。

 だのにひとみはみるみる下着だけの姿になった。
 仮にも人形だった女だ。
 暗闇をぼかす断片が、昨日発情期の友人達を呪っていた類の衝動を、なつみ自身に植えつけた。

「んっ……はぁっ、んっん……」

「ひとみ、……」


 ちゅっ、じゅるっ、ちゅっ、ちゅ…………


 シーツと肉叢のこすれる音が、甘水に浸したノイズにふやける。

 なつみはひとみの身体中にキスを散らして、フレキシブルなでこぼこを分解せんばかりにまさぐる。どろどろにとけた皮膜を開く。

「綺麗だね……ひとみ、いつからこんなに濡らしてたの。……良いの?ここ、…──ここだっけ?弱いよね、……」

「ぁっああっ……」


 ぴくぴくぴくっっっ…………


 かくも濡れながら水をなくした魚のように、ひとみの身体が寝具と宙とを行き来した。

 なつみはひとみの体内を掬った指を抜いて、白い貝殻を包んだ唇をめくる。愛らしい舌が自ら流した愛液を啜る。

「ぁむっ……ん……っ」



 足りない。全然。
 これがホールケーキであれば、まだ満月は一日として時を費やしていない。
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