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セルフヌード
第8章 *最終章*セルフヌード
「忘れ物」
振り向くと、なつみが荷物を探っていた。
「目、閉じて」
「うん、……」
忘れ物のために何故、こんなことをせねばならないのか。
疑問を早く解きたくて、明るい暗闇を数秒眺めた。
ややあって、くすぐったい雰囲気が美優を撫でた。
「──……、っ……?」
左手がやおら持ち上げられて、薬指が硬質な重みを感じた。
「良いよ」
「…………。っ……」
恐る恐る目を開けた美優に微笑むようにして、桎梏を外していた指の付け根に、白い光が輝いていた。
「……ジルコニア?」
「あ、意地悪言ったー。ここ私から言わなくちゃダメ?初めてなのに?先輩が言ってくれないの?」
「──……」
なつみの口調は、あくまで軽い。
彼女に引き換え美優は、逸る胸を叱咤して、慄いていた。
「おはようございます。嶋入さん、お預かりしていたお品物です。お間違いないですか?」
美優が黙り込んでいると、ビルからスーツ姿の女が出てきた。
二十代半ばくらいの、初々しい感じの女だ。