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セルフヌード
第8章 *最終章*セルフヌード
「また姫系着てよ」
「……キツい」
「どこが。思いっきり似合うじゃん」
「四十六だよ」
「言わなきゃ分かんないって。ってか、お洋服に年齢制限とか聞いたことないし」
「なつみは、元が美人だし」
「またそれ言うー。美優って一生そうして根暗で生きてくわけ?こんなに可愛いのにバチがあたるー」
「やめっ……シーツめくらないでっ……」
カシャッ…………
スマートフォンのシャッター音が美優を捕えた。
「…………」
「──……」
枕元にピンク色の機体が落ちた。
シーツの海に裸体を縮めて、配偶者を恥ずかしげに見上げる女。
ともすれば少女の表情をした美優が、星明かりに暴かれていた。
「可愛いよ」
「…………」
「女子は、ゆりかごから墓場まで、乙女なの」
「…………」
「生まれてきちゃいけない人なんかいないって、美優、昔言ったよね。私からしてみれば、醜くなくちゃいけない人もいないよ。……自分で自分を見限った時が終わりなの。たとえ一人でも、綺麗って認めてくれる人がいるなら、その人は綺麗なんだ。自分自身だって良い。褒めてあげるって、恥ずかしいことじゃない」
「──……」
「綺麗の方程式なんか、誰にも決められない。決める資格ない。そんなものないんだもん。私は美優が最高に綺麗。どんなモデルより最高に可愛い。美優と同じものから出来てる咲希は、奇跡の産物。……総子さんの写真集で、一回だけ変態なことしちゃった時、踏み切れたのは……別れた夜、美優が、嘘でも愛してくれたから」…………