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セルフヌード
第2章 美しさという暴力

「っ、はぁ」
美優の身体がソファにくずおれてゆく。
唇同士の触れ合う寸での位置に、なつみが屈んだ。
「綺麗だよ。美優。最高のモデルだ。……」
目尻を唇が啄んでくる。耳を、頰を。お気に入りの花を見つけた蝶のように懐っこく、なつみの唇が美優を愛でる。
「…………、なつみ、……」
歩く度に風に遊ぶボトムのフレアを揺らして、なつみがカメラを繊手に抱えた。
「こっち見て」
生きたレンズに覗かれながら、美優は従う。
「こう、して。……そう」
「…………」
「口許に手、あててみて」
「ん……」
「わー、まじ可愛い!……次は、後ろ向いてみて。振り向いて。そうだなぁ、夜起きてお化けに遭った顔って分かる?」
「…………」
「うん、そう。エローい。右腕上げて」
「──……」
「左手の指でパンティめくって。……んー、もちょっと下。そう、そのくらい」…………
小気味良いシャッター音と、美優を絡繰るメゾの声。
無の漆黒と、桜色の炫耀が、美優の肌を蹂躙する。
美優は、仰いだ覚えのないアルコールにでも酔ったのだろうか。
自分自身という、あんなにも愛せなかった存在が、顔ごとカメラに押さえられても、快楽に華やいでさえいる。
楽しい。楽しみはやがて含羞をとりこむ。
「ブラ、外して」
「……、ん。……」
熱に浮かされたように──…なつみに従うだけの撮影が、もっぱら続く。

